NHKBS で再放送していた「社会起業家の挑戦」シリーズの1回目「途上国を救うネット融資」を、さっき見ました。
取り上げられていたのは、KIVA(スワヒリ語でagreementの意味)という、ネットを通じて個人からの融資を募り、途上国のスモールビジネスに出資する仕組み。ノーベル賞を取ったグラミン銀行との違いは、融資がP2P、個人対個人であるということ。顔が見える絆という点ではフォスターペアレントの仕組みに近くて、しかも一方的な寄付じゃなく、対等な融資であるという点が特徴。一口25ドルから参加可能。
利子は付かないですが、ちゃんと1年前後の融資期間を経て返済されます。返済率今のところ100%。ビジネスが上手くいかなかった案件ももちろんあるようですが、現地事務所(提携NGO)が別の賃仕事を紹介して、完済までフォローすることになっているそうです。
ドル建てだから為替リスクはありますが、逆に円が強い時に集中して融資をしておけば、為替差益が出る可能性もあるってことですね。
KIVAでは、PayPal決済と現地への送金手数料をゼロにする交渉に成功していて、私たちが融資したお金は全額、途上国の融資先に届きます。そのかわり、融資額の1割をKIVAの運営資金のために寄付してくれるようお願いされます(寄付は任意)。各地の提携NGOが、融資先の発掘、審査、アフターフォローまで責任を持つ仕組みになっているようです。持続可能なビジネスモデルとして成り立たせようというところが良いですね。
で、私も早速一件、二口50ドルの融資をしてみました。
相手はパラグアイのテレサさん。食料品店を営む既婚女性47歳。お店にフリーザーを入れて夏の商売の役に立てたいとの申し出です。「夏はもう終わっちゃうし……」と一瞬思ったんだけど、パラグアイは南半球ですね、夏はこれからですね、失礼。ということで、彼女に決めました。
PayPalのアカウントは、海外通販をやった時に作ってたので、すんなりあっさり、クリッククリックで融資完了。PayPal日本語対応ページも出来たので、英語が苦手な方でも簡単にアカウントが作れます。
最初の融資と同時にKIVAにもメンバー登録すると、私の融資状況等、ポートフォリオのページができあがります。このページに各案件の状況、融資相手の近況などが表示されます。
NHKの番組でも紹介されていましたが、マイクロ金融の効果というのは、単にお金の問題に尽きるものではないんですよね。途上国の借り手は、まとまったお金を手にすることで商売を始めたり、すでにやっている商売を拡大したりして、お金を返すわけですが、滞りなく返済することが、そのまま彼ら/彼女らの自信になる。返済の証明書は、「私には信用がある」という証明になるんですよね。これは貧困の中で尊厳を取り戻す大きな力になる。その点で非暴力と同じく、人間が尊厳を取り戻すための重要なエンパワーメントになるんですね。
そして貸し手である私たちは、貧困を生み出す世界経済の仕組みに立ち向かうことなんて出来ない、という無能力感から一歩踏み出して、小さな一つの成功体験を手に入れる。未来は、適切な仕組みと意志さえあれば、変わっていくかも知れないんだと希望を持てる。暴力的(に傾きがち)な世界経済の中に、非暴力的な領域を確保しようという意思表示であり、手軽に成功体験を手に入れられるプラットフォームとして、やはり重要なエンパワーメントになると思うのです。
各方面で紹介されて急激に知名度が上がっているせいで、現在融資を待っている案件の数はそれほど多くありません。アフリカ方面は皆無で、多くがウクライナ、タジキスタン、アゼルバイジャン、パラグアイ、メキシコあたり。シングルマザーが子供を学校にやりたいので……というような涙袋満載の案件はすでに融資が満額集まっちゃったのでしょう。今募集しているのは、すでに市場にお店を持っている人など、商売が一応成り立っている人が多いみたい。
お家を建てる費用が必要という女性--今は柱だけで、壁と床を張りたいとのこと、バイクタクシーの運転手をやっているダンナに、自分のバイクを買ってあげたいという奥さん、などなど……各案件の紹介を見てると楽しくて、ついついあれもこれもと融資したくなって来ちゃいます。気分は“小さな銀行家”。これはクセになりそう。
この記事を書いている間にも、テレサさんへの融資が続々と集まってます。あと500ドル! 無事にフリーザー購入できると良いな。
興味を持った方は、横にあるKIVAのバナーをクリック!
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