経済・政治・国際

May 09, 2010

けいざい!!

水野和夫『100年デフレ』。

経済史の視点というのが新鮮で、飽きずに読めてしまった。
現在のグローバル経済の進展が、農業の開始、封建制の崩壊に次ぐ人類史3回目の大転換だとの認識を、中世以来の利率や物価などなどのデータを用いて示す手際なんか、ほれぼれする。
20世紀型の「インフレになれば何もかも上手くいく」という考え方は、グローバル経済のもとでは通用しないな、と説得されてしまった。資産デフレ、利子率革命…思考の道具をいろいろ教えてもらえた感じ。

数式も出てくるんだけど、経済学って案外ザッパーだなと。ただ、為替がからんでくると一次元増えるみたいにややこしくなる。

経済成長が無限に続くと思ってるのかどうかだけ聞いてみたいけど、とてもまともな視点だと思った。

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January 15, 2009

環境家計簿

 オバマ就任前に、やっぱりやってくれたイスラエルが猛攻撃しているガザ地区の封鎖解除を求める署名をやってきたんですが、そこからリンクされていたクリック募金をポチポチやってるうち、『エコチャレ』というサイトになかなか便利そうな環境家計簿があるのを見かけたので、さっそく使ってみることにしました。

 会員登録を済ませたら環境家計簿の入力画面に、毎月の電気、ガス、水道、ガソリン使用量などを入力するだけ。簡単簡単。
 うちは石油ストーブもマイカーもありませんので、灯油・軽油・ガソリン代はゼロなんですが、それでも去年のCO2排出量は2704kgとのこと。完全に昼夜逆転生活なんでね、もう。
 もちろんこれは光熱費の分だけで、消費した商品が製造・使用・廃棄過程でどれだけCO2を出したかは分かりません。それにしても、3㌧近くの気体って、体積にしたらどんだけぇ…?

 毎月の環境家計簿を入力するとポイントがたまり、とりあえず2年分入力しただけでも125ポイントになりました。ポイントはエコグッズと交換できます。
 他にも、このサイトから楽天にログインしてお買い物してもポイントがたまります。
 なのでさっそく、かねてから狙っていたポルトガル製シランポスの圧力鍋を注文してしまったりして。ガス使用量の節約は、まぁ、気持ち程度ですが、うちはマクロビ料理が多いので、玄米や分づき米を焚いたり豆なんかを煮たりするのにきっと便利ですよね~。圧力レベルの表示部分が緑黄色赤のポルトガルカラーでとってもチャーミング。

 クリック募金のサイト『イーココロ!』も、会員登録すればクリックでポイントを溜めて、自分が選んだNGOに募金することが出来ます。

 署名TVには、ガザ封鎖解除の他にもさまざまなweb署名があって、どんなにひねた大人だって一つや二つは署名したくなるものが見つかると思いますから、指一本動かさないでいるための言い訳を考えてる暇があるくらいなら、ちょっと覗いてみて下さい。

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September 30, 2007

ついにマイクロ金融に出資!!

  NHKBS で再放送していた「社会起業家の挑戦」シリーズの1回目「途上国を救うネット融資」を、さっき見ました。
 取り上げられていたのは、KIVA(スワヒリ語でagreementの意味)という、ネットを通じて個人からの融資を募り、途上国のスモールビジネスに出資する仕組み。ノーベル賞を取ったグラミン銀行との違いは、融資がP2P、個人対個人であるということ。顔が見える絆という点ではフォスターペアレントの仕組みに近くて、しかも一方的な寄付じゃなく、対等な融資であるという点が特徴。一口25ドルから参加可能。
 利子は付かないですが、ちゃんと1年前後の融資期間を経て返済されます。返済率今のところ100%。ビジネスが上手くいかなかった案件ももちろんあるようですが、現地事務所(提携NGO)が別の賃仕事を紹介して、完済までフォローすることになっているそうです。
 ドル建てだから為替リスクはありますが、逆に円が強い時に集中して融資をしておけば、為替差益が出る可能性もあるってことですね。

 KIVAでは、PayPal決済と現地への送金手数料をゼロにする交渉に成功していて、私たちが融資したお金は全額、途上国の融資先に届きます。そのかわり、融資額の1割をKIVAの運営資金のために寄付してくれるようお願いされます(寄付は任意)。各地の提携NGOが、融資先の発掘、審査、アフターフォローまで責任を持つ仕組みになっているようです。持続可能なビジネスモデルとして成り立たせようというところが良いですね。

 で、私も早速一件、二口50ドルの融資をしてみました。
 相手はパラグアイのテレサさん。食料品店を営む既婚女性47歳。お店にフリーザーを入れて夏の商売の役に立てたいとの申し出です。「夏はもう終わっちゃうし……」と一瞬思ったんだけど、パラグアイは南半球ですね、夏はこれからですね、失礼。ということで、彼女に決めました。
 PayPalのアカウントは、海外通販をやった時に作ってたので、すんなりあっさり、クリッククリックで融資完了。PayPal日本語対応ページも出来たので、英語が苦手な方でも簡単にアカウントが作れます。
 最初の融資と同時にKIVAにもメンバー登録すると、私の融資状況等、ポートフォリオのページができあがります。このページに各案件の状況、融資相手の近況などが表示されます。

 NHKの番組でも紹介されていましたが、マイクロ金融の効果というのは、単にお金の問題に尽きるものではないんですよね。途上国の借り手は、まとまったお金を手にすることで商売を始めたり、すでにやっている商売を拡大したりして、お金を返すわけですが、滞りなく返済することが、そのまま彼ら/彼女らの自信になる。返済の証明書は、「私には信用がある」という証明になるんですよね。これは貧困の中で尊厳を取り戻す大きな力になる。その点で非暴力と同じく、人間が尊厳を取り戻すための重要なエンパワーメントになるんですね。
 そして貸し手である私たちは、貧困を生み出す世界経済の仕組みに立ち向かうことなんて出来ない、という無能力感から一歩踏み出して、小さな一つの成功体験を手に入れる。未来は、適切な仕組みと意志さえあれば、変わっていくかも知れないんだと希望を持てる。暴力的(に傾きがち)な世界経済の中に、非暴力的な領域を確保しようという意思表示であり、手軽に成功体験を手に入れられるプラットフォームとして、やはり重要なエンパワーメントになると思うのです。

 各方面で紹介されて急激に知名度が上がっているせいで、現在融資を待っている案件の数はそれほど多くありません。アフリカ方面は皆無で、多くがウクライナ、タジキスタン、アゼルバイジャン、パラグアイ、メキシコあたり。シングルマザーが子供を学校にやりたいので……というような涙袋満載の案件はすでに融資が満額集まっちゃったのでしょう。今募集しているのは、すでに市場にお店を持っている人など、商売が一応成り立っている人が多いみたい。
 お家を建てる費用が必要という女性--今は柱だけで、壁と床を張りたいとのこと、バイクタクシーの運転手をやっているダンナに、自分のバイクを買ってあげたいという奥さん、などなど……各案件の紹介を見てると楽しくて、ついついあれもこれもと融資したくなって来ちゃいます。気分は“小さな銀行家”。これはクセになりそう。

 この記事を書いている間にも、テレサさんへの融資が続々と集まってます。あと500ドル! 無事にフリーザー購入できると良いな。
 興味を持った方は、横にあるKIVAのバナーをクリック!

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January 24, 2007

アメリカが動いたっぽい

アメリカ、やるときゃあやる……っぽい。

↓ http://www.47news.jp/CN/200701/CN2007012301000202.html
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温暖化ガスの削減要望
GEなど米主要10社
2007年01月23日 11:06 【共同通信】

 【ワシントン22日共同】電機大手ゼネラル・エレクトリック(GE)など米国の主要企業10社と環境保護4団体は22日、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出削減を企業などに義務付けるよう連邦議会とブッシュ大統領に求めた。

 削減義務化を求めたのはGEのほか、化学大手デュポン、証券大手リーマン・ブラザーズ、石油大手BPの米国法人など。企業に対して、排出できる温室効果ガスの枠を設定し、枠を下回った企業は、枠を上回った企業に排出量を売ることができる国内排出量取引市場を創設。米国全体で2050年までに07年の排出量の60-80%を削減するとの内容だ。

 議会には早急な立法措置を求めるとともに、大統領に政策を実施するよう求める書簡を送った。

 要望書では「温暖化対策は米国の経済にとって害になるというよりはむしろビジネスチャンスだ」としている。

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詳しくは、US Climate Action Partnership のwebサイトへ。

オゾンホールのときも、代替フロンの開発で先手を打てるとなった途端に本気になったアメリカ。今回もいきなり本気モードの大幅削減をやってのけることになるんでしょうか。
GEにデュポンにリーマンにBPですと? 各業界からそうそうたる面々ですね。他にもガス、電力などエネルギー系の会社も入ってますね。このままだと、フロリダ水没しちゃうもんねー。
しかも、2050年までに60-80%の削減って、ゴアが示していた「既存の技術で無理なく可能」な削減量の最大幅。
やっぱ、『不都合な真実』のインパクトも手伝ってるんでしょうね。すごいなぁ、外圧以外で社会が変わるってうらやましー。未来へのイマジネーションだよねー。
<追記>上記サイトの報告書を見ると、「2050年までに現在の60-80%のレベルまで下げる」とのことですので、共同の記事はちょっと誤訳ですねぇ。

良くも悪くもアメリカンスタンダードが変われば日本も変わる。
「我々は……未来に希望を持ってもいいということなのか……!?」と、SFマンガの登場人物になった気分で呟いてしまいましたよ。
日本はせっかく省エネ技術で先行してるんだから、この流れに乗り遅れなければいいんだけど。
株価の変動も予想されますから、ホントの意味での社会的責任投資で儲けが出る日も近いかも知れません。

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January 20, 2007

『不都合な真実』 An Inconvenient Truth

 感想です。

 以前から話題になっていたので公開を楽しみにしていたんですが、お尻の重い我が家にしては珍しく、公開初日に見てきました@TOHOシネマズ二条。新しくて綺麗な映画館でした。
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 元アメリカ副大統領アル・ゴアが世界各地で行ってきた地球温暖化についての講演を巡るドキュメント映画です。国際機関が出す報告書とかもちょっとはフォローしてたんで、「衝撃の事実!!」みたいな期待は持っていなかったんですが……これがなかなか、改めて衝撃的。
 100年はもつと見られていた南極の棚氷が、たった35日間ですべて崩落してしまったメカニズムなんか知らなかった。溶け始めると一気に溶けていく危険があるってことを考えると、南極やグリーンランドの氷が溶けて海面上昇6メートル、水没地域の難民一億人という数字は、思っていたほど遠い未来のことではなさそうです。
 北極の氷は海面上昇には関係ないけど(浮いてるから)、氷なら太陽熱の90%を反射するのに対し、海面は90%を吸収してしまう。極地で海水が冷えないと海流が止まって、気候に大きな変動が起こる…

 様々な「不都合な真実」が語られているんですけども、まぁ、その見せ方、プレゼンテーションの見事さと言ったら、さすが本場アメリカです。
 グラフ一つ見せるにしても、白地に細い線の無愛想なグラフではなく、黒地に赤い太い線。
 南極の氷で調べた過去何万年だかの、大気中の二酸化炭素濃度のグラフなんか、とても大きな画面なんだけど、最初はわざと近年の急上昇部分を見せていない。何度かの氷河期を含む平均気温との関連が見て取れるグラフを見せておいて、「周期的な変動がありますねー、二酸化炭素が300ppmに届いたことはありませんねー」などと話し、それからおもむろに、グラフ右端に用意されたクレーン装置に乗る。「さっき使い方を習ったんだ」と笑わせながら、現在のCO2量の400ppm近くまで上昇して見せ、更に、このままアクションを起こさないと45年後には600ppmまで……と、天井近くまで昇ってみせる。実に深刻な事実を、実にユーモラスに見せていく。
 途中に何度かアニメーションが挟まれるんだけど、微笑ましかったのが一つ。カエルが熱湯に飛び込めばすぐに飛び出すけど、ぬるま湯に入ってゆっくり温度が上がっていくとカエルは動かない……というアニメで、「温度がどんどん上がっていき、ついに…」というところで、「ついに、カエルは助け出されました」と人間の手が伸びてきてカエルが助け出される。カエルの生命は大切に、というオチも、環境派ならこうでなくては、って感じ。

 つくづくアル・ゴアって不思議な人だと思う。アメリカの副大統領までやった政治家が、建前でなく本気で、環境問題を大事に思い続けてきたなんて、奇跡だ。彼が現職だった頃、先住民チーフ・シアトルの手紙を紹介した時も、びっくりした。政治家という人種の口からあの手紙のことを聞こうとは思っていなかった。
 しかも、彼は今でも民主主義のプロセスを強く信じていて、「政治的な意志こそ、再生可能な資源だ」と語る。政治の中枢で裏の裏まで見てきて、それでもこういうことを言えるって、タフだなぁ。

 映画の公開に合わせてアル・ゴアも来日したみたいで、ニュース番組でも取り上げられてた。でも、講演を聴いたり映画を見た人たちの感想として放送されるのは、見事なまでに、ことごとく、一人一人主義の言説のみ。家庭での省エネに励もうと思いますーという類の言説だけ。まぁ、省エネを意識せずに生活してる人がそれだけ多いってことなのかも知れないけど。唯一、ニュースゼロのメインキャスターの人が、持続可能な自然エネルギーへのシフトを進める必要が…ということを口にしていて、好感度急上昇。
 アメリカで作られた映画のメッセージが、「私に出来ることはお家での省エネ」であるはずがないと思っていた我が家では、頭の中が???状態だった。
 実際映画を見てみると、エンディングロールとともに浮かび上がるメッセージには、たくさんの社会的次元の提案が含まれていた。

 「電力会社に電話して、グリーン電力について問い合わせてみましょう。もし扱っていないなら、理由を聞きましょう」
 「気候問題に熱心に取り組む議員に投票しましょう。もし誰もいないなら、自分で立候補しましょう」
 「この問題について地域で声を上げましょう」
 「新聞やラジオに投書しましょう」
 「温暖化問題への国際的な取り組みに参加しましょう」
 「外国の石油への依存を減らしましょう」
などなど……家庭での省エネ以外の、社会的次元でのアクションへのとっかかりがたくさんあった。
 あと、「祈りを信じる人は、人々が変われる強さを見つけられるよう祈りましょう」というのも、日本以外では重要なメッセージだろう。

 そんな話しをさんざんしながら帰ってきて、映画の公式サイトを見たら……日本語版サイト本家英語版サイトの違いに、またまたびっくり!
 どちらのサイトにも「行動しよう(TAKE ACTION)」のページがあるんだけど、日本語版は「家庭で出来ること」と「外出時に出来ること」の2種類のみで、そもそも「自宅で取り組む排出削減」というタイトルになっちゃってる。
 本家サイトででは、「地域で、国で、また国際的に、変化を起こそう」(Help bring about change LOCALLY, NATIONALLY AND INTERNATIONALLY)という項目がある。
 本家サイトは、それぞれのメッセージにリンクが張られていて、情報として非常に充実している。「リサイクルしましょう」というメッセージなら、自分の地域でのリサイクルセンターが検索できるサイト、「省エネ家電や省電力電灯に交換しましょう」なら、それを見つけて購入できるサイトがリンクされている。
 日本での公開には博報堂が入っているから、サイトをまじめに役立つものにしようという意志がないのは仕方ないかも知れない。リンクがあれば、もっといろいろなことに興味を持って、アクションに結びつけることだって出来るのに。まぁ、日本だと「元赤軍」とのつながりがあるよううな名前が検索で一コも引っかからないNGOを選ばなきゃならなかったり、独特の事情があって難しいのかな。でも、そういうブサヨとは無関係な新しい世代の活動だってたくさんあると思うんだけど。

 ……さらには、TAKE ACTIONのページそのもののタイトルバナーに、本家版では"Political will is a renewable resource.(政治的な意志こそが、再生可能な資源だ)"というメッセージが書いてあるのだが、日本語版ではこれが消されている。検閲入ったみたいに、綺麗にない。
 映画パンフレットの最後にも書かれている「私に出来る10のこと」すら、日本語版本家サイトでは違う。
 本家版ではそのアクションによって削減できる二酸化炭素量が何ポンド、何%と明記されているが、日本語版にはこれが書かれていない。
 項目も、8個は同じだけど、一コは肝心な一言が抜けていて、最後の一コは全く別物に入れ替えられている。
 日本語パンフで「こまめに蛇口をしめましょう Use less water」とされているのは、本来は、"Use less hot water"だ。「お湯の使用量を減らしましょう」であって、単なる節水のことを言っているのではない。
 別物に入れ替えられているのは、
 日本語パンフ  「映画『不都合な真実』を見て地球の危機について知り、友に勧めましょう」
 だが、本家サイトでは、
 「電気製品のスイッチを切りましょう。使っていない時にテレビ、DVD、ステレオやコンピューターの電源を単に切るだけで、年間数千ポンドの二酸化炭素を削減できます」
 どちらも博報堂の上客からNGが出そうだもんね。

 同じ映画でも、日本に入ってくると様々なバイアスがかけられるんだなぁと思ってしまう。英語を読むか読まないかですら、スポイル具合が違ってくるんだなぁ。これでスペイン語が読めたら、もっと違うかも。

 映画見る気も書籍版を買って読む気も自分で調べる気もない人のために言っておくと、二酸化炭素の排出量は、6種類の適切な政策をとれば、全世界の4分の1の二酸化炭素を排出してるアメリカでさえ、既存の技術で無理なく、2050年までに1970年代の量以下に減らすことが出来る。ほとんど半減させられると言うことだ。
つまり、この映画の最初のモノローグからエンドロールまで含めてちゃんと見ればわかる通り、「あとは私たちの政治的な決断にかかっている」、というのが、この映画の本当に大事なメッセージ。
 この同じ映画を見て、まるで正反対の感想を抱く人もきっといるんだと思う(それがどんな風に正反対なのかも想像できないんだけど、温暖化対策はしない方がいいとか「実際には」出来るわけないとか意味ないとか)。是非そういう人の感想を読みたいな。

 ダンナも感想 『「不都合な真実」と「不自然な省略」?』をもっとちゃんと書いてますので、そちらも読んでやって下さい。

 私の書いた「だいじな約束」というエコだけど毒のあるショートストーリーも、よろしかったらどうぞ。

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November 14, 2005

ヘリがうるさい。

 明日ブッシュが来るもんだから、京都では今日一日中、ヘリが二台並んで上空を行ったり来たりしてて、うるさくてしようがありませんでした。明日あさっては御所にも入れないみたいだし、交通規制もあるし、それでなくとも秋の行楽シーズンで洛中は混雑してるのに、ウザイことこの上ありません。
 東アジアの嫌われ者 小泉と、世界の嫌われ者ブッシュが揃うなんて……テロの標的にならなきゃいいけど。
 日本では、お出迎えのデモなんかも、どうせサヨだけのしょぼいものなんだろうなぁ。アルゼンチンではマラドーナも反ブッシュのスピーチしたっていうけど。

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September 23, 2005

銀座 神谷 木挽庵、People TreeのWB

 先週の連休に軽井沢に行って、そのまま実家に滞在中です。

 本日はお墓参りのあと、銀座交詢ビルの日本料理 神谷にて、蕎麦懐石のランチ。
 とうもろこしの豆腐にウニと枝豆のせ、焙り寿司(絶品っ)、鯛の銀あん、揚げそばがき、ざるそば、かけそば、デザート4種とコーヒー……だったかな? もっと品数があったような気もするけど、とにかく満腹です。京風の甘味の勝った塩辛いお出汁ではなく、コクのある醤油のお出汁が嬉しい。

 帰りに日比谷線で自由が丘に出て、フェアトレードのお店People Treeへ。お会計の時、レジでPeople Tree版のホワイトバンドが目に入ったので一つ買ってみた。「FAIR TRADE NOW」のメッセージがプリントされた白い布にマジックテープ式のリストバンドで、バングラデシュ製。300円のうち100円がバングラデシュ衣料品工場の労働組合に寄付されるとのこと。WB否定派の方には、こういう直接寄付のやり方のほうが分かりやすいかも知れませんね(本来のGCAP(Global Call to Action Against Poverty)の目的のうち、もっぱら「貿易の公正」に特化しちゃいますが…)。

 WBについては、友人がブログで詳しく書いています。
「ホワイトバンドを巡る議論についての覚え書き 1.ホワイトバンド・キャンペーンの国際的な背景」
 および、
「ホワイトバンドはチャリティじゃない、ってどういうことだろう? ニジェールの飢餓問題を事例に考える」
 詳しくて長くて読むのが大変かもしれませんが……とりあえず、
◎バンド・エイドやライヴ・エイドが集めた2億ドルの寄付が、「実はアフリカ全体が抱える債務の利子数週間ぶんにすぎなかったということが、参加したアーティストたちに大きな衝撃を与えた」こととか。
◎その反省から、「(1)貿易の公正。(2)債務の帳消し。(3)援助の質と量の増大。(4)国連の提示するミレニアム開発目標への国レベル、国際レベルの協力と、そのための(第三世界における)水道インフラなどの公共サービスの充実。」を目標とする「GCAP(Global Call to Action Against Poverty)と呼ばれる国際的なプロジェクト」が、「各国のNGOによって多中心的に発展して」いることとか。その中にライヴ8とか「ほっとけない」とかがあるってことですね。
◎「現在でもアフリカを中心とした最貧国は国家予算の15パーセント以上を債務返済に充てるというような、厳しい国家経営を強いられている」こととか。
 アフリカ低開発国の債務は、比較的穏健な数字を取るとしても3000億ドルあり、この債務のうち「NGOはほぼ全額、英政府は1000億ドル強の債務帳消しが必要だと考えて」いるが、1000億ドルとしても「Live Aidで集まった募金の1000倍。ホワイトバンドの売り上げを全部返済に回したとしても、バンド350億個以上」、「ビル・ゲイツの総資産が500億ドル弱」なのでゲイツ2人分以上が必要なわけで、貧困問題に立ち向かうには「寄付」ではなくて、調査活動と政策提言が必要だ、ということとか。

 日本のホワイトバンド・キャンペーンも、ファッションとしてブームとしてWBを手にした人たちに、「構造調整プログラム」とか「飢餓輸出」とかの単語の一つ二つを覚えさせることが出来たなら、十分に意味があっただろうなぁと思うのです。

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April 23, 2005

ベネディクト16世

 新らしいローマ教皇の正式な就任も明日に迫りましたが、BBCの記事から、教皇に決まってから最初のミサで行われた説教や、過去の発言集など、主な記事をざっと読んでみました。期待大です。

 マスコミでは教義の面で保守的だと騒がれていますが、どんな神学的論点があるのかと思って読んでみると、批判的にやり玉に挙がるのは、何のこたぁない世俗の事柄に対する意見。
 中絶や安楽死に反対 → 殺人をバチカンが認めるわけにはいかないもんねぇ。個別のケースに対する寛容が問題
 受胎調整にも反対 → HIVが問題となっているアフリカでは、節制が出来ないならコンドームを使った方がいい、という現実的な指導をしている聖職者が多いので、それを咎めるのでなければ宗教指導者としての適正に問題はないと思う
 神学的問題に関わるのは、
 司祭の妻帯に反対 → 妻子持ちの司祭から聖体拝領するシスターという図は、私だって抵抗あるぞ
 女性の祭司職叙階に反対 → 司祭と修道者では別々の召命なので、性別で差別すべきではないとは思う。が、単なる平等の原理を教会に持ち込もうとするのでは意味がない。人は神の前でしか平等ではない。教会はヒエラルキーの秩序を示すことに力を注ぐべきなので、たかだか百数十年のフェミニズムでバチカンを変えられるとは思わない。あと数百年頑張ろう
 同性愛の婚姻に反対 → 感情を持つことは罪ではないと言っている。世俗においては同性婚を認めたっていいじゃないかと思うが、バチカンでは婚姻の秘蹟に関わることなので、本来は離婚・再婚にこそ反対すべき、と言いたいくらい
 その他、批判的にあげつらわれるのは相対主義への批判なのだが、これはどう見たって新教皇の言ってることはまともだ。

相対主義は……今日のスタンダードに受け入れられる唯一の態度のように見える。私たちは何一つ決定的とみなさず、各人のエゴと欲望を最高の価値とする相対主義の独裁に向かおうとしている。   ( Pope Benedict XVI in his own wordsより拙訳)
 相対主義が「主義」として働くとき、それはあらゆる判断の放棄となり、それに伴って実際上の唯一の価値基準は功利主義しかなくなり、功利的判断の埒外に置かれるすべては個人的・主観的な趣味嗜好へと切り下げられる。たえざる自己の相対化は宗教の教えの核心だが、相対「主義」をもって全体を俯瞰するたくらみは、相対主義の絶対化であって批判されてしかるべきだろう。深く考えることの苦手な人間のほとんどは、頭がかなり良くてもこの罠に陥る。自己のたえざる相対化が導く先は対話だが、相対「主義」の行き着く先は対話の放棄、暴力の絶対化だ。

 新教皇サマは、かなり伝統的な方のように見えるし、ことによるととても霊性の高い方かもしれない。ラテンアメリカやアフリカ・アジアの貧困にどう取り組むかが注目。第2バチカン公会議の精神を一層実現させようと仰っているが、その精神って、現世で十分に苦難を負っている人々に、希望が届くようにというものではないかなぁという気がしてきた(典礼を「分かりやすく」することなど)。現世で十分に富んでいる者たちの教会が、あんまり脳天気に「私たちって神様に愛されて幸せー」って言ってるのは、やっぱり鼻持ちならない。先進国で食うに困らずにいる私たちは、かなり具体的に罪人なのだ。金持ちが父の御国に入るのは、ラクダが針の穴を通るより難しいはずなのだし。

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February 19, 2005

フェアトレード・イベント

 フェアトレード・イベント「Com~ともに」にいってきました。
 学生中心のフェアトレード普及ネットワークFair Trade Student Networkの主催で、会場には100名以上の若い人たちが集まっていました。民族楽器によるライヴとフェアトレード商品をフィーチャーしたファッションショウ、そしてシンポジウム。若い子ががんばってはいるけど、イベントとしての洗練度はいまいち素人ノリのままですが……まぁ、フェアトレード・コーヒー又は紅茶のワンドリンク付き千円で、楽しめるイベントにはなっていました。会場は旧毎日新聞ビルと言われている三条御幸町の1928ビル3階、Art Complex。
 フェアトレードというのが何かを知らない人に説明するのは面倒なのですが、要するに「買い叩かない」、「適正な価格を支払う」ことで地域の自律を促すことを考えに入れた「公正な貿易」で、単に「可哀相な人に寄付する」のではなく「対等な貿易パートナー」としての関係を作り上げていくことで途上国支援を経済のレールに乗せていこうという運動です。
私も東京に帰るたびに立ち寄っているPeople Treeなどが有名です。
 ファッションショウでは、現地の映像を流しながら、モデルの学生たちがシャツの袖を内側に織り込んでスカートにしたり、フード付きのアウターを上下逆さに着てみたりと、なかなか工夫が見られました。ま、エスニック系の商品が多いので、コーディネイトは難しいものが多いんですけどね、オーガニックコットンのTシャツやセーターなんかは、使い勝手がわりといいと思います。。
 学生ネットワークの方は去年出来たばかりのようです。

 シンポジウムで面白かったのは、マリ出身で精華大で講師をしている人と、やはり精華大の留学生のジャワ島出身の女性が、共に、フェアトレードに非常に懐疑的な意見を表明していた点。
 フェアトレード商品の生産国では、「フェアトレード」という言葉すら、消費国日本以上に、まるで普及していない。誰にとって「公正」なのか、誰にとって「適正な価格」なのか、そもそも、なぜ「貧しい国」があるのか……などなど、問題の射程は広くて深い。フェアトレードが「少しはマシな植民地主義」でないという証明は、まだない、という意見すらありました。
 ことがトレード(貿易)であるだけに、なぜ外貨が必要かと言えばIMFの構造調整プログラムのせいだったりするわけだし、フェア(公正)と言ったって、一部地域で行われる直接貿易である以上、全体の不公正なシステムにインパクトを与えることは出来ないのではないかという疑問もある。また、「顔の見える関係」を先進国が強調するほどには、生産国では消費者の顔が見えていない、という指摘もありました。途上国出身のパネリストの二人は(おそらく金持ちのエリート階級出身だと思うのですが)言いませんでしたが、フェアトレードの生産者にとって、私たち先進国の消費者がどれほど豊かかというのは、見せられるものではないのかもしれません。見せれば、絶望を誘うだけかもしれない貧富の差が、そこにはあるのではないか……。

 市場経済で買い叩かれるばかりの貿易の中では、バナナやコーヒー農家は、小売価格の2%ほどの金額しか受け取っていないと言われています。フェアトレードではその4~5倍の価格で買い取ることになっているそうです。その代わり、小売価格も何割か割高にはなります。

 獲得した外貨で輸入された食料品を買わなければならないとしたら、フェアトレードの意味は薄れてしまいますが、個別のケースとしてみる限りは、おおむね自給経済が成り立った上で、教育費に充てる現金収入が得られるという状態を実現しているようです。

 フェアトレードのような試みを紹介すると、欠点(の可能性)をあげつらって全否定する脊髄反射が必ず現れますが、80円のハンバーガーを実現するために、誰がどのような不利益を被っているのか考える方が先だと思うし、「通常」の貿易が不公正であることが問題なのであって、フェアトレードが問題なわけではないのは明らかです。フェアトレードをスタンダードに押し上げる運動が必要なのであって、けなすことが理に適っているわけではない。善意の寄付にたよるより、ともかくも経済の歯車に乗せた継続的な体勢作りが有利なのは明らかなのですから。
 その上で、伝統技術の継承という理念と、先進国でも売れる商品開発の齟齬の問題を考えなきゃいけないのは事実だし、チャリティを売り物にするがゆえに生産者に甘くなりがちで本当の意味での競争力をつける助けになっていないという批判も、甘んじて受けなければならないのでしょう。

 少なくとも日本では、まだまだフェアトレードの認知は低く、そういうものがあることすら知られていない。悲惨な労働条件の下で学齢期の子供すらが奴隷に近い労働で生産している商品が、百円ショップで売られている。そういう現状に対して、市場経済を否定するのではなく、欺瞞と呼ばれようとも「公正な貿易」「適正な価格」を探っていこうという試みは、私は大好きなタイプの運動です。そもそも、偽善が恐くて先進国住民なんかやってられますかっての。

 パネリストのマリ出身の大学講師が言ってた中で興味深かったのは、マリは綿の生産が多いらしいのですが、綿花の生産には、大量の農薬が投入されているんです。地球上で使われる農薬の数割が、綿花に使われているという。それも、ODAがらみで農家は国策として農薬を買わされているのですが、その講師の人は、「農薬をやめさえすれば、どれだけ農家が楽になるか」と言っていたんです。農薬を買うために現金が必要で、借金する。農薬を使うから土地が痩せる、借金が残る。そういう悪循環から抜け出すには、とにかく農薬をやめることが必要だ、と。彼は、だからフェアトレードというよりも無農薬の農作物を普及することの方が役に立つのではないかという意見でした。ただ、これも盲点はあって、巨大資本が安い労働力を使って無農薬作物を大量生産するということも、現に起こり始めているわけです。
 だからこそ、そうならないための直接取引なんですが……それは全体の不公正な構造を変革する力になるのか? ……難しいところです。

 ちなみに、私が他の市民運動系で見かける顔が、一人として今日は見あたりませんでした。サヨクの人たち、意識低すぎ~。ジュビリーもWTOも、フェアトレードとは関わり深いと思うんですけどねー。

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February 03, 2005

スカートのリメイクと、もちきびハンバーグ

 昨日の雪はショックでしたが、せっかく髪も切ったことだし、寒くてもがんばんなきゃ、と思って、今日はスカートとジーンズのリフォームの見積もりに行ってきました。
 四条河原町の阪急に入っているメイズ生活工房へ。大昔に買い与えられたアルマーニのジーンズをスカートにリメークするのと、数年前に買った妖精さん模様の(いや、ホントだってば)タック付きギャザースカートをAラインにリフォームしてもらうので、果たしていくら掛かるか。

 デパートには必ず、お直しやオーダーを引き受ける工房があるけれど、センスがおばあさま達向けで、裾直しくらいしか頼めない感じがしますよね。でも阪急は百貨店全体が若い人向けなだけあって、職人さんも若い女の子で、見本に出てるのも普通に着れそうなシンプルで今風のデザイン。じゃ、試しに頼んでみようかなと思ったのです。
 アルマーニのジーンズは形が古くなってしまってもう着れないけど、いい生地でどこも傷んでないのに勿体ないなぁと思ってて。妖精さん模様のスカート(ええ、ホントです、いずれお見せしましょう)は柄が気に入って買ったんだけど、ヒップにボリュームが出る形なので似合わなくて、なかなか着出せないでいて。手直しすればまだ着れるものがあるなら、次々に新しいモノを買うよりは資源の節約になるかな、くらいの気持ちで見積もりをしてもらいました。新しいスカートを2着買うのと比べての、値段の相談ってかんじですね。
 妖精さん模様のスカートの方は……布を持ち込んでのオーダースカートの基本料金が3500円というキャンペーン中で、これにタックのほどきなどの追加料金をプラスしていく形で、9500円ほど。ジーンズをスカートにリメークする方は、7500円ほど。どちらも一回の仮縫い付きですっ!
 けっこう掛かる……と思うかも知れませんが、これらは純粋に職人さんたちの手仕事の代価。時給で考えれば、それ程高いとは思えません。それに、綿スカートとはいえインポートの一点ものと、デニムスカートと、両方を新品で買うと思えばもっと掛かるわけで。
 なので、2つともお願いしてきました。15日に仮縫い~。ちょっと楽しみです。

 帰りにアモスタイルでインナーウェアを買ったら、こちらも何かのキャンペーンでポッキーのミニパックがオマケに付いてきました。ちょっとラッキー♪

 で、今日の晩ご飯☆
 作ってみたかった「もちきびハンバーグ」にしてみました。レシピでは人参タマネギ白菜を炒めて、炊いたもちきびに混ぜて地粉を加えて形を整えて焼くんですが、白菜がなかったのでホウレン草でやってみました。これが美味しかった!ホウレン草と合わせたから余計になのかもしれないけど、もちきびが卵風の香りになるんですね。焼くときは焦げ付きやすくてちょっと扱いが大変だったけど、作った甲斐のある美味しさでした。
 でも……一人なのにたくさん作っちゃったから、明日も、もしかして明後日もこれ食べなきゃなんないかも~。

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