鳩が死ぬ
今宵一羽の鳩が死ぬ
暮れゆく街で声もなく
名もないただの鳥なのに
弱さは罪と咎められ
力が足りぬと蔑まれ
広場を追われ 石投げられて
翼は折れて 脚挫かれて
力振り絞り 首をもたげた
最後の時まで 小さな空を見上げていたよ
空には自由があったのかい
今は届かぬ希望にも似た
お前の大切な何かがそこにあったのかい
今日も一羽の鳩が死ぬ
凍える朝の片隅で
助けを求め鳴いたのに
その叫びさえ咎められ
耳障りだと憎まれて
広場を追われ 石投げられて
翼は折れて 脚挫かれて
力振り絞り 首をもたげた
最後の時まで 小さな空を見上げていたよ
空には仲間があったのかい
失くして返らぬ信頼に似た
お前の大切な何かがそこにあったのかい
今日また一羽鳩が死ぬ
祭の歌に背を向けて
オリーブの枝くわえてた
ただそれだけで咎められ
平和のしるしを疎まれて
広場を追われ 石投げられて
翼は折れて 脚挫かれて
力振り絞り 首をもたげた
最後の時まで 小さな空を見上げていたよ
空には光があったのかい
捨てられてゆく理想にも似た
お前の大切な何かがそこにあったのかい
ほらまた一羽鳩が死ぬ
心の中で鳩が死ぬ
「鳩に石を投げろと教えたのは誰…?」
revised on 19/10/2016
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