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July 21, 2013

髑髏流転

私は気楽なしゃれこうべ
愉快な白いしゃれこうべ
肉のあるときゃ悩みもしたが
今じゃ空っぽ吹き曝し
何の留まることもない
私は気楽なしゃれこうべ

私は綺麗なしゃれこうべ
波打ち際のしゃれこうべ
日ごと夜ごとに波打たれ
月夜は銀に光りだす
おいでヤドカリ 私の眼窩を潜っておくれ
私は綺麗なしゃれこうべ

ある日嵐がやって来て
砂が逆巻く波の中
沖へ沖へと流されて
ビニールからめ鰯の渦へ
ぐるぐる踊る海の泡
なんて愉快なしゃれこうべ

やがて沈んだ海の底
蛸を住まわすしゃれこうべ
肉があっては役には立たぬ
すっからかんのくーらくら
一盃分の安らかさ
蛸を住まわすしゃれこうべ

網にかかったしゃれこうべ
引き上げられるしゃれこうべ
主人の蛸は大慌て
腕をくねらせ逃げて行く
さらばおさらばお達者で
引き上げられるしゃれこうべ

陸にあがったしゃれこうべ
手を合わされてしゃれこうべ
何の因果か気の毒がられ
ぽくぽく登る山寺へ
経に供物に花に水
手を合わされるしゃれこうべ

ずらり並んだしゃれこうべ
珍しくもないしゃれこうべ
今じゃ静かな納骨堂
無縁仏の仲間入り
私は誰のしゃれこうべ
どれが私のしゃれこうべ

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