ウォーラーステイン
水野和夫さんの『100年デフレ』で、さかんに引用、参照されていたので、ウォーラーステインってどんなんだろう?と思ってダンナに「知ってる?」と聞いてみると、「確か昔買ってあったのが……」と言って『大航海 No.21(1998.4)』 “特集:ウォーラーステイン以後”というのを出してきてくれた。
もともとアフリカ研究をやっていた人で、アフリカで民主化や経済発展がいっこうに進まない理由を調べるうち、近代化において「進んでる」「遅れてる」があるわけではなく、アフリカは「低開発化」という形で、近代という「世界システム」の一部に取り込まれているのだとの考えに至ったらしい。システム内に取り込まれている限り、周辺が経済発展することはなく、近年の新興国の発展は、近代という世界システムが転換期を迎えているのを示している、ということになりますね。
ウォーラーステインのリベラリズム批判に関しては、マルクス臭のする逆批判がいくつもあったりしたけど、それほど興味はひかれないかな。アメリカン・リベラリズムへの批判が実際のところ民主主義批判の射程を持ってることの方が面白い。
あと、「哲学の神学からの解放」と「科学の哲学からの離婚」のことを、ウォーラーステイン自身がさらりと語ってたけど、やっぱこの辺は興味深い。認識に関するスコラ学の繊細な議論が、近代になるとまるで見えなくなっちゃうってのは、何なんだろう。
余談的には、西欧近代がブレーキのブチ壊れた文明だという今村仁司と岸田秀の対談が載ってるんだけど、つまりは、人を殺していいと思ってる奴らの方が、人を殺すのは悪いことだというタブーを保ってる側より、常に暴力において勝るという話をしてて、ああ、不殺生というタブーを保ったヒーローが、ブレーキのブチ壊れた敵と戦うってのが、るろ剣やトライガンだったなぁ、などと感慨深く思った。
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