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April 19, 2010

湖の魔女

銀のネジ 金の歯車 音もなく ラピスラズリの 天球回す

 とても美しい、けれど作り物の夜空の下に、一人の魔女が閉じこめられていました。
 魔女は終わりのない夜の中で、出口を探し続けていました。

森の奥 湖水を滑る魔女の杖 飛沫よ歌え 夜の秘密を

 魔女の杖で波立った湖面から、銀色のしぶきが舞い上がり、かすかな歌が響きました。

静寂の水面揺らすは 愚かなり 己を知らぬ 湖の魔女

 湖は魔女に答えてはくれません。
 魔女はがっくりとうなだれ、更に森の奥深くさまよいました。

 森の深くには苔むした一つの井戸がありました。

石を投げ 遠く水音 聴きながら 井戸なお深く 汲む物もなし

 沈めるべきが石ころでないことは、魔女にも分かりはじめていました。

水底へ 波音一つ立てぬよう 波紋一つも残さぬように

 魔女は自らを沈め、真理を浮かび上がらせる以外、何も出来はしないのです。

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