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September 12, 2008

本当は怖い汚染米

 当初「事故米」として報道された時から、発ガン性のカビ毒がひどく気になっていました。

 昔読んだSFマンガで、自分を虐待した親を殺すために、ピーナッツのカビ毒を夕食に混ぜて食べさせるというエピソードがありました。(『セシリア・ドアーズ』江ノ本瞳、新書館、1995)

「彼らは……早くて二ヶ月で死亡する。どこにでもあるガンで死ぬんだ」

 それがアフラトキシンBでした。スパイものなんかでもある程度定番の小ネタだったかも知れません。

 事故米転売のニュースでピンと来たので、それが「あのピーナツのカビ」なのかどうかネットで調べだところ、まさに同じアフラトキシンだということが分かりました。そしてアフラトキシンには何種類もあることが分かり、事故米のカビ毒がアフラトキシンの中のどの種類なのか気になりました。
 すぐには情報が見つからず、少し経ってから、ようやく、もっとも毒性の強いアフラトキシンB1だと分かりました。自然界最強の発ガン性物質です。今もあまり積極的には報道されていません。

 東京都健康安全研究センターのサイトによると、15マイクロkgのアフラトキシンB1を含む資料で飼育したラットは、全て肝臓ガンになったそうです。マンガで書かれてた通りです。
 そして、アフラトキシンは、加熱調理によってもほとんど減少しません。

 メタミドホスに関しては、濃度が低ければ影響がないと分かります。もちろん有毒な化学物質を体内に取り込むこと自体嫌ですが、直接的な健康被害はないというのは理解できます。でも、アフラトキシンは……? どの程度の濃度で、食用に転用されたのか否か、正確な情報が早く欲しいところです。アフラトキシンに関する報道が微妙に少ないように感じるのは、気のせいなのかな。

 自分が肝臓ガンになるかどうかは、まぁ、それほど気にしませんが……でもハンナよりは長生きしなきゃいけないけど……どうにも情報の出方が気になる事件ではあります。
 たとえ汚染された食品を食べてガンになったとしても、裁判で「科学的因果関係」を証明することはほとんど不可能でしょうから、責任追及がほぼ不可能な種類の事件です。こういうの、本当に嫌いだなぁと思います。

 ダイオキシンの10倍という毒性をもつ「ピーナッツのカビ毒」。95年出版のマンガで読んだんだから、そのとき私はもう大人でしたが、「親を殺すための毒」というのは、特別な感情を呼び起こすエピソードでした。
 この毒は、十全な殺意を持って使うべきものであって、もうけたいがための漠然とした未必の殺意でなんか使用するべきものじゃない。本当に殺したい奴に毒を盛る時に使うものであるはず。賞味期限や原産地の改ざんなんかとは、本質的に違う種類の事件だと思います。

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