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September 2007

September 30, 2007

ついにマイクロ金融に出資!!

  NHKBS で再放送していた「社会起業家の挑戦」シリーズの1回目「途上国を救うネット融資」を、さっき見ました。
 取り上げられていたのは、KIVA(スワヒリ語でagreementの意味)という、ネットを通じて個人からの融資を募り、途上国のスモールビジネスに出資する仕組み。ノーベル賞を取ったグラミン銀行との違いは、融資がP2P、個人対個人であるということ。顔が見える絆という点ではフォスターペアレントの仕組みに近くて、しかも一方的な寄付じゃなく、対等な融資であるという点が特徴。一口25ドルから参加可能。
 利子は付かないですが、ちゃんと1年前後の融資期間を経て返済されます。返済率今のところ100%。ビジネスが上手くいかなかった案件ももちろんあるようですが、現地事務所(提携NGO)が別の賃仕事を紹介して、完済までフォローすることになっているそうです。
 ドル建てだから為替リスクはありますが、逆に円が強い時に集中して融資をしておけば、為替差益が出る可能性もあるってことですね。

 KIVAでは、PayPal決済と現地への送金手数料をゼロにする交渉に成功していて、私たちが融資したお金は全額、途上国の融資先に届きます。そのかわり、融資額の1割をKIVAの運営資金のために寄付してくれるようお願いされます(寄付は任意)。各地の提携NGOが、融資先の発掘、審査、アフターフォローまで責任を持つ仕組みになっているようです。持続可能なビジネスモデルとして成り立たせようというところが良いですね。

 で、私も早速一件、二口50ドルの融資をしてみました。
 相手はパラグアイのテレサさん。食料品店を営む既婚女性47歳。お店にフリーザーを入れて夏の商売の役に立てたいとの申し出です。「夏はもう終わっちゃうし……」と一瞬思ったんだけど、パラグアイは南半球ですね、夏はこれからですね、失礼。ということで、彼女に決めました。
 PayPalのアカウントは、海外通販をやった時に作ってたので、すんなりあっさり、クリッククリックで融資完了。PayPal日本語対応ページも出来たので、英語が苦手な方でも簡単にアカウントが作れます。
 最初の融資と同時にKIVAにもメンバー登録すると、私の融資状況等、ポートフォリオのページができあがります。このページに各案件の状況、融資相手の近況などが表示されます。

 NHKの番組でも紹介されていましたが、マイクロ金融の効果というのは、単にお金の問題に尽きるものではないんですよね。途上国の借り手は、まとまったお金を手にすることで商売を始めたり、すでにやっている商売を拡大したりして、お金を返すわけですが、滞りなく返済することが、そのまま彼ら/彼女らの自信になる。返済の証明書は、「私には信用がある」という証明になるんですよね。これは貧困の中で尊厳を取り戻す大きな力になる。その点で非暴力と同じく、人間が尊厳を取り戻すための重要なエンパワーメントになるんですね。
 そして貸し手である私たちは、貧困を生み出す世界経済の仕組みに立ち向かうことなんて出来ない、という無能力感から一歩踏み出して、小さな一つの成功体験を手に入れる。未来は、適切な仕組みと意志さえあれば、変わっていくかも知れないんだと希望を持てる。暴力的(に傾きがち)な世界経済の中に、非暴力的な領域を確保しようという意思表示であり、手軽に成功体験を手に入れられるプラットフォームとして、やはり重要なエンパワーメントになると思うのです。

 各方面で紹介されて急激に知名度が上がっているせいで、現在融資を待っている案件の数はそれほど多くありません。アフリカ方面は皆無で、多くがウクライナ、タジキスタン、アゼルバイジャン、パラグアイ、メキシコあたり。シングルマザーが子供を学校にやりたいので……というような涙袋満載の案件はすでに融資が満額集まっちゃったのでしょう。今募集しているのは、すでに市場にお店を持っている人など、商売が一応成り立っている人が多いみたい。
 お家を建てる費用が必要という女性--今は柱だけで、壁と床を張りたいとのこと、バイクタクシーの運転手をやっているダンナに、自分のバイクを買ってあげたいという奥さん、などなど……各案件の紹介を見てると楽しくて、ついついあれもこれもと融資したくなって来ちゃいます。気分は“小さな銀行家”。これはクセになりそう。

 この記事を書いている間にも、テレサさんへの融資が続々と集まってます。あと500ドル! 無事にフリーザー購入できると良いな。
 興味を持った方は、横にあるKIVAのバナーをクリック!

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September 02, 2007

朝の鴨川--ウォーキングする人の群

 昨日は犬の散歩前に一眠りしてしまったせいで、気付いたら暗くなっちゃってて、近所を一回りするだけ済ませてしまったので、今朝は埋め合わせのため、ちょっと仮眠をとった後、6時頃に起きてハンナを鴨川へ連れて行きました。おかげで帰宅後は、一週間ぶりに、ゲキレンジャーと仮面ライダーをリアルタイムで視聴できました(いつもはveohで見てるんだけど)。
 さて鴨川ですが、すっかり涼しくなって、気持ちいい風が吹いていて、春に生まれたカルガモの雛もすっかり大きくなって、でもまだ姉弟で群れてて、空の雲はすぅーっと高くなって、暦はすっかり秋だなぁ~という感じ。いつも夕方の散歩で会う犬とも何匹か出会いました。

 でもでも、朝の鴨川は犬より人間がずっと多い!! 中高年の皆様方がウォーキングしてらっしゃるのです。
 見渡す限りでも、その数、優に五、六十人! 週末だからってのもあるのでしょうか。
 それにしても、ちょっと怖いぐらいのウォーキング熱ですね。鴨川までの道のりには、まだほとんど人がいなかったのに、河原に来た途端、この人口密度は何!?って感じ。

 そりゃ、朝の散歩はすごーく気持ちいいんだけど、皆さん単に散歩してるんじゃないんですよね。みんながみぃーんな、“ウォーキング”してるんですよ。
 散歩ってやつは、「おや、今日はこの花が咲いたね」とか、「今日はカルガモが何羽いるかな?」とか、「比叡山にかかる雲はどんな形かな?」とか……時々立ち止まって、風景との一期一会を楽しむものかなぁと思うんだけども、皆さんパリッとしたスポーツウェアに身を固めて、黙々と早歩きしてらっしゃる。もちろんね、朝の空気を感じ、季節の移ろいもそれなりに感じてらっしゃるんでしょうが、主たる目的はどう見てもカロリーの消費、“健康のため”。

 健康に留意するのは悪いことじゃありませんとも。スポーツメーカーやらフィットネスクラブやらサプリ業界やらの消費拡大に貢献して、消費社会の一員としても立派なものですけどね。なんだかなぁって思っちゃうんですよね。

 健康に悪いものを買わせて買わせて、更に今度は、健康を取り戻すためにもっと買わせて買わせて……。そういうマッチポンプ式のサイクルって、どうよ?と思ってしまうのです。最初のサイクルで消費社会の暗示に乗せられてしまうと、もうあとは泥縄ですもんね。そこから抜け出すつもりのオーガニック界隈もすっかり業界に取り込まれてて、「もっと体に良いものを、もっと消費を!」ってな具合ですからね。
 広告もマスコミも総動員で「消費は美徳だ!!」と教え込まれてきたんだから、抜け出すのはそれほど簡単じゃない上に、今度は近代医学までもが総動員で、やれ血糖値だ、コレステロール値だと追い込んでおいて、「一番良いのはウォーキングですよ」というお手軽な結論まで用意しておいてくれる。ウォーキング大いに結構ですよ。体を動かせば気持ちいいでしょう。でも……言われたこと鵜呑みにしてるだけなら、「やっぱりウォーキングはあんま良くありませんでした」って言われたら(そのうちきっと言い出すと思う)、今度は何を消費するの?みたいな。

 私は不健康でいい!って、思ってしまうのです。
 私だってマクロビもやってるしヨガも良いと思うし、その他諸々エコ志向がありますが、自分自身は消費拡大に貢献する気はさらさら無いし。少なく消費するのが何よりのエコですしね。
 経済の仕組み自体がエコ志向に、公正なルールに則ったものになっていくことが重要だと思ってるから、代理店が消費拡大のためにでっち上げたLOHASでも何でも、利用すればいいとは思ってます。思ってますが、結局、出自が卑しいLOHASなんぞのフレーズは、環境に負担をかける仕組みを維持することにしか貢献しないのかも知れませんね。途中で目くらましをかけて、ミスリードするから。自分で考えて消費行動を決める人なんて、市民社会が成熟して情報が行き渡ってるヨーロッパならともかく、日本ではごく少数なんでしょうから。

 それにねー、どうせ老後は年金も破綻してて、生活保護を打ち切られて孤独死するんですよー、私なんて子供もいないし年下の友人少ないし。それはそれで文士っぽくって、私にとっては悪くない結末ですけど。或いは、このままの政治状況が続くなら、アメリカの戦争に巻き込まれて中産階級以下の経済破綻はもっと早まるかも知れないですが。
 いずれにせよ、孤独死するそのときまで、電通の思惑通りになんか生きてやるもんか!!と、決意をあらたにさせる朝の風景だったのです。
 ……精神衛生のためだけなら、何も考えないで“気持ちいい朝だわっ”って言ってるだけの方が、絶対良いね。それは間違いない。でも、ま、私が重視してるのは個人としての幸福ではなく、人間としての幸福だから、このくらいのフラストレーションは支払わなきゃならないコストなのでしょうね。納得はしてます。

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