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January 2007

January 24, 2007

アメリカが動いたっぽい

アメリカ、やるときゃあやる……っぽい。

↓ http://www.47news.jp/CN/200701/CN2007012301000202.html
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温暖化ガスの削減要望
GEなど米主要10社
2007年01月23日 11:06 【共同通信】

 【ワシントン22日共同】電機大手ゼネラル・エレクトリック(GE)など米国の主要企業10社と環境保護4団体は22日、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出削減を企業などに義務付けるよう連邦議会とブッシュ大統領に求めた。

 削減義務化を求めたのはGEのほか、化学大手デュポン、証券大手リーマン・ブラザーズ、石油大手BPの米国法人など。企業に対して、排出できる温室効果ガスの枠を設定し、枠を下回った企業は、枠を上回った企業に排出量を売ることができる国内排出量取引市場を創設。米国全体で2050年までに07年の排出量の60-80%を削減するとの内容だ。

 議会には早急な立法措置を求めるとともに、大統領に政策を実施するよう求める書簡を送った。

 要望書では「温暖化対策は米国の経済にとって害になるというよりはむしろビジネスチャンスだ」としている。

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詳しくは、US Climate Action Partnership のwebサイトへ。

オゾンホールのときも、代替フロンの開発で先手を打てるとなった途端に本気になったアメリカ。今回もいきなり本気モードの大幅削減をやってのけることになるんでしょうか。
GEにデュポンにリーマンにBPですと? 各業界からそうそうたる面々ですね。他にもガス、電力などエネルギー系の会社も入ってますね。このままだと、フロリダ水没しちゃうもんねー。
しかも、2050年までに60-80%の削減って、ゴアが示していた「既存の技術で無理なく可能」な削減量の最大幅。
やっぱ、『不都合な真実』のインパクトも手伝ってるんでしょうね。すごいなぁ、外圧以外で社会が変わるってうらやましー。未来へのイマジネーションだよねー。
<追記>上記サイトの報告書を見ると、「2050年までに現在の60-80%のレベルまで下げる」とのことですので、共同の記事はちょっと誤訳ですねぇ。

良くも悪くもアメリカンスタンダードが変われば日本も変わる。
「我々は……未来に希望を持ってもいいということなのか……!?」と、SFマンガの登場人物になった気分で呟いてしまいましたよ。
日本はせっかく省エネ技術で先行してるんだから、この流れに乗り遅れなければいいんだけど。
株価の変動も予想されますから、ホントの意味での社会的責任投資で儲けが出る日も近いかも知れません。

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January 20, 2007

『不都合な真実』 An Inconvenient Truth

 感想です。

 以前から話題になっていたので公開を楽しみにしていたんですが、お尻の重い我が家にしては珍しく、公開初日に見てきました@TOHOシネマズ二条。新しくて綺麗な映画館でした。
Ait_1

 元アメリカ副大統領アル・ゴアが世界各地で行ってきた地球温暖化についての講演を巡るドキュメント映画です。国際機関が出す報告書とかもちょっとはフォローしてたんで、「衝撃の事実!!」みたいな期待は持っていなかったんですが……これがなかなか、改めて衝撃的。
 100年はもつと見られていた南極の棚氷が、たった35日間ですべて崩落してしまったメカニズムなんか知らなかった。溶け始めると一気に溶けていく危険があるってことを考えると、南極やグリーンランドの氷が溶けて海面上昇6メートル、水没地域の難民一億人という数字は、思っていたほど遠い未来のことではなさそうです。
 北極の氷は海面上昇には関係ないけど(浮いてるから)、氷なら太陽熱の90%を反射するのに対し、海面は90%を吸収してしまう。極地で海水が冷えないと海流が止まって、気候に大きな変動が起こる…

 様々な「不都合な真実」が語られているんですけども、まぁ、その見せ方、プレゼンテーションの見事さと言ったら、さすが本場アメリカです。
 グラフ一つ見せるにしても、白地に細い線の無愛想なグラフではなく、黒地に赤い太い線。
 南極の氷で調べた過去何万年だかの、大気中の二酸化炭素濃度のグラフなんか、とても大きな画面なんだけど、最初はわざと近年の急上昇部分を見せていない。何度かの氷河期を含む平均気温との関連が見て取れるグラフを見せておいて、「周期的な変動がありますねー、二酸化炭素が300ppmに届いたことはありませんねー」などと話し、それからおもむろに、グラフ右端に用意されたクレーン装置に乗る。「さっき使い方を習ったんだ」と笑わせながら、現在のCO2量の400ppm近くまで上昇して見せ、更に、このままアクションを起こさないと45年後には600ppmまで……と、天井近くまで昇ってみせる。実に深刻な事実を、実にユーモラスに見せていく。
 途中に何度かアニメーションが挟まれるんだけど、微笑ましかったのが一つ。カエルが熱湯に飛び込めばすぐに飛び出すけど、ぬるま湯に入ってゆっくり温度が上がっていくとカエルは動かない……というアニメで、「温度がどんどん上がっていき、ついに…」というところで、「ついに、カエルは助け出されました」と人間の手が伸びてきてカエルが助け出される。カエルの生命は大切に、というオチも、環境派ならこうでなくては、って感じ。

 つくづくアル・ゴアって不思議な人だと思う。アメリカの副大統領までやった政治家が、建前でなく本気で、環境問題を大事に思い続けてきたなんて、奇跡だ。彼が現職だった頃、先住民チーフ・シアトルの手紙を紹介した時も、びっくりした。政治家という人種の口からあの手紙のことを聞こうとは思っていなかった。
 しかも、彼は今でも民主主義のプロセスを強く信じていて、「政治的な意志こそ、再生可能な資源だ」と語る。政治の中枢で裏の裏まで見てきて、それでもこういうことを言えるって、タフだなぁ。

 映画の公開に合わせてアル・ゴアも来日したみたいで、ニュース番組でも取り上げられてた。でも、講演を聴いたり映画を見た人たちの感想として放送されるのは、見事なまでに、ことごとく、一人一人主義の言説のみ。家庭での省エネに励もうと思いますーという類の言説だけ。まぁ、省エネを意識せずに生活してる人がそれだけ多いってことなのかも知れないけど。唯一、ニュースゼロのメインキャスターの人が、持続可能な自然エネルギーへのシフトを進める必要が…ということを口にしていて、好感度急上昇。
 アメリカで作られた映画のメッセージが、「私に出来ることはお家での省エネ」であるはずがないと思っていた我が家では、頭の中が???状態だった。
 実際映画を見てみると、エンディングロールとともに浮かび上がるメッセージには、たくさんの社会的次元の提案が含まれていた。

 「電力会社に電話して、グリーン電力について問い合わせてみましょう。もし扱っていないなら、理由を聞きましょう」
 「気候問題に熱心に取り組む議員に投票しましょう。もし誰もいないなら、自分で立候補しましょう」
 「この問題について地域で声を上げましょう」
 「新聞やラジオに投書しましょう」
 「温暖化問題への国際的な取り組みに参加しましょう」
 「外国の石油への依存を減らしましょう」
などなど……家庭での省エネ以外の、社会的次元でのアクションへのとっかかりがたくさんあった。
 あと、「祈りを信じる人は、人々が変われる強さを見つけられるよう祈りましょう」というのも、日本以外では重要なメッセージだろう。

 そんな話しをさんざんしながら帰ってきて、映画の公式サイトを見たら……日本語版サイト本家英語版サイトの違いに、またまたびっくり!
 どちらのサイトにも「行動しよう(TAKE ACTION)」のページがあるんだけど、日本語版は「家庭で出来ること」と「外出時に出来ること」の2種類のみで、そもそも「自宅で取り組む排出削減」というタイトルになっちゃってる。
 本家サイトででは、「地域で、国で、また国際的に、変化を起こそう」(Help bring about change LOCALLY, NATIONALLY AND INTERNATIONALLY)という項目がある。
 本家サイトは、それぞれのメッセージにリンクが張られていて、情報として非常に充実している。「リサイクルしましょう」というメッセージなら、自分の地域でのリサイクルセンターが検索できるサイト、「省エネ家電や省電力電灯に交換しましょう」なら、それを見つけて購入できるサイトがリンクされている。
 日本での公開には博報堂が入っているから、サイトをまじめに役立つものにしようという意志がないのは仕方ないかも知れない。リンクがあれば、もっといろいろなことに興味を持って、アクションに結びつけることだって出来るのに。まぁ、日本だと「元赤軍」とのつながりがあるよううな名前が検索で一コも引っかからないNGOを選ばなきゃならなかったり、独特の事情があって難しいのかな。でも、そういうブサヨとは無関係な新しい世代の活動だってたくさんあると思うんだけど。

 ……さらには、TAKE ACTIONのページそのもののタイトルバナーに、本家版では"Political will is a renewable resource.(政治的な意志こそが、再生可能な資源だ)"というメッセージが書いてあるのだが、日本語版ではこれが消されている。検閲入ったみたいに、綺麗にない。
 映画パンフレットの最後にも書かれている「私に出来る10のこと」すら、日本語版本家サイトでは違う。
 本家版ではそのアクションによって削減できる二酸化炭素量が何ポンド、何%と明記されているが、日本語版にはこれが書かれていない。
 項目も、8個は同じだけど、一コは肝心な一言が抜けていて、最後の一コは全く別物に入れ替えられている。
 日本語パンフで「こまめに蛇口をしめましょう Use less water」とされているのは、本来は、"Use less hot water"だ。「お湯の使用量を減らしましょう」であって、単なる節水のことを言っているのではない。
 別物に入れ替えられているのは、
 日本語パンフ  「映画『不都合な真実』を見て地球の危機について知り、友に勧めましょう」
 だが、本家サイトでは、
 「電気製品のスイッチを切りましょう。使っていない時にテレビ、DVD、ステレオやコンピューターの電源を単に切るだけで、年間数千ポンドの二酸化炭素を削減できます」
 どちらも博報堂の上客からNGが出そうだもんね。

 同じ映画でも、日本に入ってくると様々なバイアスがかけられるんだなぁと思ってしまう。英語を読むか読まないかですら、スポイル具合が違ってくるんだなぁ。これでスペイン語が読めたら、もっと違うかも。

 映画見る気も書籍版を買って読む気も自分で調べる気もない人のために言っておくと、二酸化炭素の排出量は、6種類の適切な政策をとれば、全世界の4分の1の二酸化炭素を排出してるアメリカでさえ、既存の技術で無理なく、2050年までに1970年代の量以下に減らすことが出来る。ほとんど半減させられると言うことだ。
つまり、この映画の最初のモノローグからエンドロールまで含めてちゃんと見ればわかる通り、「あとは私たちの政治的な決断にかかっている」、というのが、この映画の本当に大事なメッセージ。
 この同じ映画を見て、まるで正反対の感想を抱く人もきっといるんだと思う(それがどんな風に正反対なのかも想像できないんだけど、温暖化対策はしない方がいいとか「実際には」出来るわけないとか意味ないとか)。是非そういう人の感想を読みたいな。

 ダンナも感想 『「不都合な真実」と「不自然な省略」?』をもっとちゃんと書いてますので、そちらも読んでやって下さい。

 私の書いた「だいじな約束」というエコだけど毒のあるショートストーリーも、よろしかったらどうぞ。

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January 03, 2007

戦災復興マンガ『不死鳥のタマゴ』

 戦災復興マンガつながりで、『パンプキン・シザーズ』より前から読んでいた作品をもう一つを紹介しとこうかと思います。
 
『不死鳥のタマゴ』全3巻 紫堂恭子 角川アスカコミックスDX

 こちらは舞台設定が現実にベースを置かないピュア・ファンタジーでコメディ・タッチですが、テーマのシビアさは、実は紫堂作品の中でも久々の大物だったと思います。

 内戦が終わり、新政府の保安隊員としてエルダーという田舎町に赴任してきたクリスは、戦時中敵対した王党派寄りの土地柄から、村人に反感を持たれるなど苦労していた。ある日、ボロ雑巾のような鳥の雛を拾って帰ると、それが人の言葉を話す不死鳥のヒナで…「ちゅん」ちゃんというそのヒナの、暴走するラヴ・パワーに振り回されっぱなし…というお話。

 手柄が立てたいなら本隊で王党派の残党狩りをすればいい、という先輩隊員に、「…内戦はもう終わりました。残党狩り以外にも仕事はあるはずです」というクリス。彼がエルダーに来た目的は、内戦中、彼が崖から落ちて大けがをした時に助けてくれた恩人--顔も声も分からないがエルダーの出身とだけ分かっている、敵兵だった誰か--を見つけること。

 熱意と誠意で次第に人々に迎え入れられていくクリスだったが、王党派の兵士だったヒューが町に戻ってきて、敵意をむき出しにされる。ヒューにとって、戦火を免れた故郷、変わらぬ風景と人々の中にとけ込むかつての敵兵クリスに比べ、戦場帰りの自分だけが異質なものであるように感じ、もとに戻れずに苦しんでいたのだ。
 レストランで働く村の娘キャロルは、戦死した父の最期の様子を知りたいと願っている。兵士だったクリスとヒューは、キャロルの父が死んだ戦いのことは聞き知っていた。だが、敵味方双方が孤立し補給をたたれ、飢えと病気で地獄さながらの様子だったというその噂をキャロルに告げることは出来ない。
 ヒューとクリスは反発しながらも接していくんだけど、二人とも、たまたま生まれた土地が王党派と議会派だっただけで、自分でどちらかの陣営を選んだわけではない、ということも分かり合っている。「誰だって同じさ。そんなもんだ」「そうだよな…そんな理由で戦うんだ」
 クリスはヒューに向かって言う。老人や子供やキャロル達、エルダーの町の人たちが戦いの被害者であるのに対して、「俺たちは、俺たち二人だけは皆と違う…戦いの、加害者でもあるんだ…」

 不死鳥のヒナちゅんちゃん、吸血こうもりだこのちちち、ゴブリンのゴブ子さんなど、ファンタジックなキャラクターに引っ張られて話が展開していくので、深刻な背景を女の子読者にも受け入れられるよう配慮されている。まぁ、その分、物足りなさは残るけど…。

 紫堂恭子さんの作品では、『グランローヴァ物語』がダントツの出来で、『辺境警備』も非常に愛着のもてる魅力的なお話だった。掲載誌の意向で未完に終わった『エンジェリック・ゲーム』は、武器商人の父親から少女がどうやって自立するかというお話だったし、『ブルー・インフェリア』は文明を壊滅させた感染症を巡るスケール観のあるSFだった。これら初期の作品群と比べると、その後は、一定のクオリティの「良い作品」を書いてくれているにも関わらず、筆が達者になりすぎて、良くも悪くも「安心して読めてしまう」(私は嫌いだけど上手いとは思うCLAMPっぽい筆の達者さになってしまったような…それが角川クオリティ?)。いつもちゃんと中身のあるテーマを扱ってるし、エンターテイメントとしても楽しませてくれるが、入れ込むほどの魅力は感じられなくなっていた。(多分、量産しやすいようキャラの作り出し方が変わってしまったのだろうと思う)
 『不死鳥のタマゴ』も、初期作品のような無茶苦茶なパワーや魅力はない。掲載誌がプチフラワーあたりだったら、もう少しファンタジック・コメディの色を控えて、シリアスなテーマの方に力を注げたんじゃないだろうか。
 「内戦後の和解」を描くのに、ファンタジーという様式は、きっと本当に相応しいものであるはずだから、この食い足りなさが残念でならない。

   グラン・ローヴァ物語―決定版 (1)
   辺境警備―決定版 (1)
   ブルー・インフェリア―決定版 (1)
   エンジェリック・ゲーム VOLUME2 (2)

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January 01, 2007

今年のお節

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

鼻風邪がずっと治らず体調悪いながらも、昨日は一日お節料理作りに励みました。
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 去年と大差ないメニューですが、黒豆と祝い鯛以外は自家製になりました。
 激しく写真写りが悪いですが、今年のメニューも鯛とお雑煮以外は動物性食品不使用。
 ・蕪の梅酢漬け
 ・大豆と芽ひじきのマスタード和え
 ・結びこんにゃくのピリ辛煮
 ・根菜の煮物胡麻味噌味
 ・里芋煮
 ・蓮根ボール
 ・マクロビ松風焼き
別皿に
 ・栗きんとん
 ・カボチャの伊達巻き
 ・黒豆
それと、博多雑煮です。
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 カボチャの伊達巻きは、蒸したカボチャと豆腐と大和芋とくず粉を混ぜて甘みを調節して、ホットプレートで焦げ目が付くように焼いて巻きまきしたもの。意外と美味しいです。きんとんは去年の方が上手に出来たかな。今年のヒットは蓮根ボールかな…。
 風邪気味で体力がなく、準備がちょっとしんどかったですが、元日の朝にお皿に並べると、満足感は非常に大きいです。

 年末年始は、ついに買ってしまったるろ剣豪華DVD-Boxと、天皇杯&高校サッカーと、冬の恒例ドストエフスキーで過ごす予定です。

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