« フォッグ・オブ・ウォー | Main | マクロビな晩餐 »

January 26, 2005

『地下室の手記』

 買い込んだ本をあちこちから手をつけてしまい、一冊読了することが激減している今日この頃……そうでなくても集中力が落ちて、込み入った話や難しい文章が読めなくなっている低能化進行中の最近。やっとドストエフスキー『地下室の手記』を読了。冬はやっぱりドストエフスキーよね、と毎年思いつつ、これまでに『悪霊』『カラマーゾフの兄弟』をやっつけたのみ。冬眠モードに入らないことには、『白痴』『罪と罰』と残っている大部にはなかなか手が伸びない。ロシア文学なんて春になると読む気なくなるし。

 そんなわけでこの冬は、薄っぺたな『地下室の手記』に挑戦。自分がどれほど下劣で醜悪な人間であるかをほじくりつづける「手記」は、もっぱら文学だなぁって感じなんだけど、人間の下劣さを描くこと自体に終始するなら、流行りのミステリー小説だってやっていること、文豪の名に値しない。文豪は下劣さの理由を、「手記」のかなり早い段階で明らかにする。私にとってはその下りがあったからこそ、つまんで捨てたくなるような主人公の「手記」の続きを最後まで読めた。

人間に必要なのは――ただひとつ、自分独自の恣欲である。たとえこの独自性がいかに高価につこうと、どんな結果をもたらそうと知ったことではない。(P.41 太字は原文では傍点)

ほかでもない、自分のために愚にもつかぬことまで望めるという権利、自分のためには賢明なことしか望んではならないという義務にしばられずにすむ権利、それを確保したい、ただそれだけのためにほかならないのだ。……(略)……というのは、すくなくともそれが、ぼくらにとっていちばん大事で貴重なもの、つまり、ぼくらの個と個性とをぼくらに残しておいてくれるからである。(P.45)

 悪意や愚かさを「人間はそういうものだ」とでも言いたげな、自然的な本性に放り投げたまま問うことのない小説とは違う。
 最後には、「ぼくは善良な人間にはなれないんだ」という主人公の叫びに、結構心動かされてしまった。

 今日は早起きしたせいか一日中眠くって、そのうえ昼に天丼なんか買い食いしたせいでお腹が空かず、晩ご飯は玄米雑穀ご飯をタイマーでセットしたところまでで放棄。ダンナが帰ってきてからお味噌汁(千六本とワカメ)と、小松菜・ジャガイモ・お揚げの炒め物という簡単メニューで済ませました。美味しかった。

|

« フォッグ・オブ・ウォー | Main | マクロビな晩餐 »

「書籍・雑誌」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/32134/2703703

Listed below are links to weblogs that reference 『地下室の手記』:

« フォッグ・オブ・ウォー | Main | マクロビな晩餐 »