もう一つの世界は可能だ!
先日ご案内したトービン税講演会、行って参りました。だんなのエントリでも少し触れていますが、フィンランド、そしてヨーロッパでの市民の動きなんかが生の声で聞けたのでなかなか面白かったです。
印象に残った2点だけ。
フィンランドでの運動が、『もっと税金を!』というスローガンを掲げたというのが、日本人としては面白い。前提にはやはり、日本と違って、取られた税金がちゃんと市民生活に還元されてきたという現状があるのでしょう。医療費、教育費などがタダに等しく、老後の心配がないなら、手取りが減っても不安はずっと少なくなる。公的なサービスを切り下げるくらいなら、もっと税金を!と望む国内の事情。そして、国際的な貧困や環境、不公正さの問題に対して、通貨取引税などの国際税で取り組もうという、グローバルな事情。ローカルとグローバル、双方の問題意識を、『もっと税金を!』という一つのスローガンに結びつけたことは、『もう一つの世界』を目指す今日の市民運動の特徴を良く表していると思いました。ジョゼ・ボベ達がWTOの制裁に対して「ロックフォールチーズを守れー」などと地域エゴに留まることなく、「世界は売り物じゃない!」と宣言したことと、似ていると思った。
で、その『もう一つの世界』を目指す今日の運動の目標としているところについて、とてもいいなと思った言葉。
To create a democratic space at the global level. グローバルなレヴェルで民主的空間を作り出すために。
これは決して、どっかのブッシュ政権がやってるようなグローバル・デモクラシーの押しつけではない。民主的な『空間』を作り出したいだけ。それは議論の「場」とか「余地」だったり、より公正なルールを求める「共感の可能性」だったりするんだろうな。環境運動から労働組合まで、先進国から途上国、そして独裁政権下の少数民族までが手を結んで作り出そうとしている大きな流れは、決して一つのイデオロギーなんかじゃない。考え方も多様だし、利害だって必ずしも一致してばかりではない。それでも、多様なものを受け入れ、何とか殺し合わず、奪い合わずに共存していけるように、議論の余地を、そのための場を、そして未来の可能性を、作り出していかなきゃね、と思ったのでした。
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