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July 12, 2004

選挙はギャンブルに似ている と トービン税

 投票はちゃんとしました。……でもなかなか感想を書く気にならなくて。
 自民の議席があまり減らなかったので、かな~りがっかり。民主は勢い得たなぁと。みどりの会議の中村敦夫さんが議席失うなんて~(泣)、支持層しっかりあると思ってたのにぃ!

 え~、話を進める前に一応ご説明申し上げると、京都は改選議席が2。候補者は自民、民主、共産の3人。で、京都は「共産党の牙城」と言われてきたそうで、事実、市民運動に若い子がいるなと思うと、半分はM青なんじゃないかという勢い。若い身空で何が哀しうて政党の下部組織なんぞに……大学で最初に親切にしてくれたのが壺売りや草加じゃなくM青だったのかねぇ。
 今回の選挙戦でも、中年・初老のおじちゃん、おばちゃんたちが「消費税引き上げ絶対反対、年金改悪法廃案!」とかのポスター広げてメガホン持ってスーパーの前で活動してたり、道歩きながらビラ配ってたりしました。

 だからね、共産が落ちるなんて思ってなかったわけ。いや、共産が落ちたってそれ自体は、それ見たことか人に通じる言葉で喋れ党事務所の推薦図書以外も読めよ、くらいなんだけど、共産が落ちると自民が通っちゃう!
 あのねー、そんなに弱体化してるなら、ちゃんとそう言っといてよ!暑いなか活動してたおじちゃん・おばちゃんも、自己満でしょぼいデモなんかしてる暇があるなら、天敵公明みたいに小学校からの同級生みんなに電話攻勢でもすりゃぁ良かったじゃない。私だって選挙区は入れてやれば良かったと、後悔しましたよ。国会で、どっから手に入れたの?って内部資料をネタに与党を追求する共産が、なくなっちゃ困るわけ。きっと余人には窺い知れない魅力から、共産党が共産党であるが故に、そういう内部資料を流してくれる内部協力者がいるんだろうから。
 完全に読みが外れました。選挙ってギャンブルみたい……と思いました。

 そんなこんなで凹んでた我が家を明るくしてくれたのは、ベルギーでトービン税法案が通ったというニュース。詳しくはダンナのブログにありますが、トービン税っていうのは、為替取引に低率で課税し、その税収を世界の貧困問題や環境問題解決の財源に充てると言うもの。通常時は0.01%という、為替変動リスクにも満たない低率で課税、急激な変動時には税率を上げて、通貨危機を防ぐ意味もある。現代では、実際の財やサービスを伴う国際貿易量の70倍もの為替取引があり、それは一日に何百回と為替取引を繰り返して、つまりマネーを転がすことで利益を得るということが行われているせい(為替レートの差を利用して、3カ所で売買を繰り返せば儲かるので)。実体経済に比べてマネー経済が肥大化するのは、経済の不安定要因になるし、金のあるところに金が集まるという傾向を極端に加速するものでもある。だからトービン税は、環境・貧困問題解決の財源確保と、世界経済の安定化に役立つ、一石二鳥の妙案として注目されているわけです。
 貧困問題、重債務国の問題に触れると、「借りた金は返すのが当たり前だ」と脊髄反射する人がわりと多いんだけど、日本のODAを見ても明らかな通り、貸し込む先進国のゼネコンやらに資金が環流する仕組みがあったり、国内経済を破壊して先進国からの輸入を増やすような「改革」とセットで貸してたりと、金貸しの方があくどいのが常なんですよね。途上国政府にも問題あることが多いのも事実だし。この辺のことは、ノーベル賞経済学者スティグリッツの『世界を不幸にしたグローバリズムの正体』なんかが分かりやすいと思います。
 なんにせよ、テロの温床を無くしていくためには、絶望的な貧富の格差を是正していく、より公正な仕組みを作らないと、泥沼にはまるばかり。トービン税が唯一の妙案ではないし、トービン税ですべて解決するほど単純な話じゃないけど、世界経済という巨大な歯車にひとつかみの砂を投げ込んで全体を軋ませる、希望を感じさせる話なのであります。
 地方がますます貧乏なのもボーナスがカットされるのも、歪んだグローバリズムと繋がってるんだからね。グローバル化の歪みを正さないと、貧乏人は黙って死ねという、小泉の言う通りの未来になっちゃうよ~。

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Comments

所得課税の危険性について

カジカワ キヨシ 

税という公益を求める為の費用は、私益を求める為の費用が多い人程、負坦していくべきではないのか?利益があろうとなかろうと負担責任が発生するのであれば、所得に課税するのは間違いと言えるであろう。所得に課税すると云う事は、個人の支出以上の収入が無い所からの公共の支出は得られない、という私費優先状態を発生させてしまい、不況事に於いて健全なる国家運営が危まれる可能性が大いにあるのではないのか?ここに疑問の一石を問いたい。

私の問題意識 カジカワ キヨシ
love system「愛情主義経済」と言ってしまえば簡単なのであるが、私の問題意識は「所得に課税して、所得が増えるのか?」という所である。前に「収入税」を考えたが「所得に課税」という分は消えず困っていた。長い間考えた末に、お互いの経費に課税する「必要経費税」と「逆人頭税」を想いついた。そこに在る真理とは何だろう?『安定した経済変動の為には景気と財政は反比例の関係が良い』だった、ミクロ経済とマクロ経済を行ったり来たりする「愛」−団体行動と個人行動の利害関係が相反せず一致すること、その大小関係は反比例である−というものだった。
 今までは、「景気が良くなれば財政は豊かになり経済はよくなる」という説があたりまえだったが、「安定した経済変動」「大小関係は反比例である」という新しい説とあわせてみると、なにか臭うぞ?「景気が悪くなれば財政は貧しくなり経済は悪くなる」とも言えるのではないか?これでは「ビルトインスタビライザー」なんてものはまったくのうそっぱち「一生懸命がんばっても、景気が良くならなければ何の意味も持たない」「累進課税では、貧富の格差をつけたほうが税収は良くなる」訳である。
 税率変動の際、「利益」の課税にすると政府は増税賛成、民間は減税賛成となってしまい、意見は一致しません。もし「経費」の課税にするとどうでしょう、景気のよいときは、政府も民間も「増税賛成」―だって物を安く売る人は増えて欲しくない―、景気の悪いときには、両方とも「減税賛成」―3%の儲けを払うのも大変なはず―である。
 最期に「可処分経費の廃棄は可能か?」というところです。つまり、仕事が無くなっても人は生きていけるのか?とは、長い時間の後で、今の日本みたいに「無職・アルバイター」の人々が増えても良いのか?これが私の問題意識です。
あと、付け加えるところは、法人税と所得税を合わせて「必要経費税」を創っても良いのだろうかという所だ!所得税を法的に法人経費課税とし、その代わり法人の利益には課税しない、事実上の法人税の廃止を試みてはどうだろうか?

Posted by: kajikawa kiiyosi | January 04, 2005 13:53

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Tracked on July 13, 2004 22:58

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