玻璃の小瓶
玻璃の小瓶をくれると約束した
とても貴重な とても綺麗な小瓶だと その猫は言った
玻璃の小瓶には あらゆる問いの答えが――
なにを いかに いつ どこで そして 誰が
――そんな問いの答えが みんな 詰まっているのだという
「でもね 瓶には しっかりふたを しておかなきゃいけない
現世の空気に触れると 偽りが 混じってしまうんだ
ずっと昔には 世界の中心に置かれてたのに
いつの間にか放り出されて 世界の片隅で見つけたんだ
誰かが大切に 守っていかなきゃならない
だから 小瓶を きみの窓辺に置いて
静かに 静かに 揺らさないように
息をひそめて のぞき込むんだ
瓶の中で きらきら きらきらしているのが見えるよ」
その瓶は何処から来たの?
――その答えも 瓶の中
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