『森の生活』H.D.ソロー
『森の生活』(上)(下)H.D.ソロー 岩波文庫
市民的抵抗の御大 ソローが、文学ではどういうものを書いてたのかな、と思い、読んでみた。
ウォールデン湖の畔に自ら小屋を建て、畑を耕し、質素に暮らすなら経済的なくびきを逃れることが可能だと証明しながら、思索的生活を送った数年間を描いた作品。
文庫本上下2冊600ページ超の多くが風景描写で、「うわ~、風景描写だけでこんなにページが埋められるんだ!」と脱帽。描写の質はもちろん素晴らしいし、読んでいて飽きてしまった箇所はごく僅か。爪の垢でも煎じて飲みたいくらい。
簡素な生活の実践記録としても興味はあるが、いかんせんアメリカ的な匂いがして、終始違和感は残った。仄かなマッチョイズム、(思想を広めよう的な)押しつけがましさ。やはりディネーセンのアフリカものやサン=テグジュペリの郵便飛行士もの
とは、味わいがだいぶ違う。アメリカ文学は苦手なんだなと、再確認。
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