サンテグジュペリの飛行機見つかる
びっくりするニュースに久々に出会いました。偵察飛行に出たまま消えていったというサンテグジュペリの乗っていた飛行機が、マルセイユ沖の地中海から見つかったと。→http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040407-00000404-yom-int
ちょっと前に『人間の土地』を読んだところだったので、余計びっくりしました。この本の中で、砂漠で遭難したときの様子が描かれていて、それが記憶に残っていたのです。
乾燥した砂漠での渇きの苦しみは当然として、それ以上に過酷な幻覚との戦いが丁寧に書き込まれていました。何より強く印象付けられたのは、助けを求めているのは遭難した自分の方ではなく、帰りを待つ人々の方だ……という悟り。
「絶対に生きて帰る」という強靱な意志力は、どちらかと言うと肉食マッチョなハリウッド的超人性と思ってたんですよね。でも、待っている人々を見捨てないために、「絶対に生きて帰る」という超人的な意志力を発揮するというのもあるんだなぁ、と。自分がもう一度彼らと会いたいからではなく、彼らが自分を失うことの悲嘆と絶望から、救いを求めている。だから彼らを救う義務を負い、責任を負っているのは自分の方なのだ、という悟り方って、ハリウッドじゃなくヨーロピアンなアンニュイだなって。
そんなことを思い出しながら、ついに助けに戻ることができなかった彼が、本当に地球上のある場所である時に命を落としたのだと確認してしまうことに、抵抗を感じてしまった。空に消えた伝説のままなら、彼からの助けをまだ諦めずに済んだのになぁ、なんて。
でも、ニュースをよく読んでみると、1998年に彼の名前(の一部)が彫られたブレスレッドが、2000年にも機体の一部が見つかっていたとのこと。それならば……見つかるべくして見つかったのだろうなと、少し納得。彼の機体だけが、我々を助けに戻って来たとでも考えてみようか?
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