一輪庵

　京都では、時々こんなものが郵便受けに入ってます……。

　十月のある日、怪しい木製の棒が３本、紙に巻かれてポストに……
　上部には何やら呪的な匂いのする朱の印が……
　　　

　ドキドキしながら紙を見ると
「さて町内恒例の御三稲荷社のお火焚き祭を下記の通り行いますので……」
　って、この棒をどうすりゃいいのかは書いてないじゃんかよ～。
　そんなことがあったのも忘れかけた12月。
　またもや町内会からのお知らせが。
　タイトルは……「八坂神社　人形について」。
　にんぎょう？ハァ？と思っていると、小さな封筒を郵便受けの中に発見。
　あけてみると、ウギャー、こ、これは……！

　いきなり陰陽師の世界ですよ、あ～た。
　ニンギョウではなく、ヒトガタよ。
　清明がヒュヒュッと息を吹きかけて投げると、美人が出てきてお酌してくれるアレ、式神（式紙じゃないのね）。
　これに名前と年齢を書いて息を３回吹きかけ、さらに身体を撫でて、そんで袋に入れて管理人さんに渡すと、八坂さんでお祓いをしてくれるそうな。
　そうか……我が身の穢れを肩代わりさせるためのヒトガタなのね。
　敵の呪術師（だれ？）の手に渡ったら大変なことになるわね、気を付けなきゃ！

　そんなこんなで、京の師走も更け行くのでした。