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September 2001

September 27, 2001

懸念

同時多発テロ以降の開戦ムードに、実は、ちょっと言葉を失ってて、新作の方も進んでません。
うかうかしてるうちに、また一つ年をとってしまった……

☆タリバン逝ってよし……なのか?!
ビンラーディン氏が犯人だという証拠をアメリカが出しそうな流れになってきたのは歓迎します。
最低限のスジは通さなきゃ、いくら何でもアラブ諸国も黙ってられないでしょうし。

アメリカ政府は、空爆やミサイルどかんといった分かり易い乱暴は働かないみたいですね。
そのかわりに、北部同盟を支援したり、特殊部隊を投入したりで、タリバン政権を潰すことにしたみたい。

どうやらマスコミも、「ビンラーディン&タリバーンが悪。アフガンの一般市民の犠牲は最小限に」というところで手を打った感があります。

アフガンの人たちを空爆で死なせたくないと思う人でも、タリバンをアメリカが潰すのは「ま、仕方ないかなー」と思っちゃうみたいで、私はそれが悲しい。
だって、タリバンを積極的には支持しない人だって、アメリカやアメリカに支援された北部同盟が攻めてきたら、自分の村を守るために銃を取っちゃうかもしれないんだよ。戦闘員と非戦闘員の区別は付きにくい。

「タリバンは人権侵害をしている」(by西欧の物差し)→だからアメリカがタリバンに人権侵害しても良し。殲滅やむなし。ってこと?
滅茶苦茶やん。
タリバンは、「証拠があればラディンくんの身柄を第三国に引き渡す」って、言ってたんじゃない? 外交交渉せーや。

タリバン支配が良いか悪いかは、アフガン人が決めること。
食料と水と医療と寝床があれば、アフガンの人達は、そうしたければ自分たちでタリバンを追い出すでしょう。
アメリカが北部同盟を援助して新政権を作るなんてことになったら、パキスタンのパシュトゥーン人だって黙っちゃいないでしょう。
大国による内政干渉は、更なる混乱の種をまくだけ。歴史から学べや。

☆LOVE & PEACE
「テロは許せない」と感じる前に、「アメリカ反省せーや」と思う自分の心が、平和になってないなぁと思う。
誰も憎いわけじゃない(テロリストも、ブッシュくんも)。
でも、フェアじゃないって気持ちが強くある(貧困は仕組まれている)。
誰かが憎いわけじゃなく、でも、怒りがある。
今回のテロ事件って、私の心の中のテロを見透かされたみたいな気がする。
だから私は、自分の中の怒りを、もっとよく見つめていかなきゃと思うんだ。

怒りでテロに走るより、非暴力でこられた方がアメリカにとっては絶対脅威だ。
CIAも政府も、公民権運動を圧殺することができなかった。
イスラム世界のまっとうな要求は、今こそ非暴力戦略で世界に提示すべきだと思う。誰もが無視できなくなるまで。命がけで。

テロを許すとか許さないとかじゃないんだ。
もともと暴力が溢れた世界から来たテロリストに、そんな偉そうなこと言えない。
ただ、テロは哀しいから、やめて欲しい。

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September 20, 2001

メモ

ブッシュくんたちアメリカ政府は、ホントに素朴な言葉で国民を煽るんですね。
「善と悪の戦いじゃ!」
……って、今どき日本のアニメだって、「悪役にだって事情も理由もある」んですけど。
「自由と民主主義への攻撃じゃ!」
……って、そりゃね、「アメリカだけが勝手放題やる自由」と、「民主主義以外の総ての政治的価値を徹底否定する民主主義独裁体制」への攻撃ですけどね。

どうやらアメリカのマスメディアは、「アメリカが何故これほどまで憎まれるのか」を国民に考えさせないようにしてるみたいですね。
あ、日本でも安藤&木村太郎(フジテレビ系)の強力タッグは、「何故」を問わないですね。報復攻撃を既定路線とした上で、「国際貢献」「一人前の国家」ありき、って感じで。(でもね、人生、「何故」って大切な問いなんだよ)

こんな時に、「でも、暴力に暴力で報復しても解決はない…」なんて口に出そうもんなら、「一人前」コンプレックスの偽悪趣味者たちが、寄ってたかって「平和ボケ!」と罵倒してあなたの口を塞ごうとしますから注意。
どう注意するかというと、「あ、あたしって平和ボケなのね」などと声の大きい人たちに押し切られないように。
「戦争」が良いとか悪いとかの話じゃなく、アメリカがこれから仕掛けるのは、もう、ただの「虐殺」でしょ、ってこと。
その独善丸出しの虐殺に、今回は日本もより積極的に荷担することになりそげーな小泉くん声明。

 戦争になるかも知んない……と、言われても、日本も荷担することになるらしい……と言われても、多分イメージ湧かないと思います。
 ちょっと刺激が強いページですが、アメリカを中心としたNATO軍がやったこと(リンク切れ)──例えばベオグラードで(ピクシーの国ユーゴだよ!)、鼻くそほじりながら空爆した結果、放送局で、病院の精神科病棟と婦人科病棟で、中国大使館で、無辜の市民が虐殺された様子(残念、こちらもリンク切れ)。それと湾岸戦争の時の写真のページ(これもリンク切れ)。

あと、希望は見失わないこと。
世界の大勢が下降曲線で暴力になだれ込んでも、踏み留まる者は踏み留まる。
「アメリカの新聞に平和の全面広告を出そう」のページ
「反報復キャンペーンサイトChance!」のぺーじ

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September 14, 2001

崩壊のヴィジョン

 あれだけしつこくテレビ放映されると、記憶に焼き付いて離れなくなるでしょう。
 天を突く超高層ビルが、次々に崩れ落ち、灰と砂になってしまうヴィジョン。
 TOWER──タロットで最悪と言われるカード。破滅と再生。
 世界中に突きつけられたヴィジョンは、象徴的にも意義深いのかも。
 薄皮一枚剥げれば、私達の繁栄なんて、ああやって脆く崩れ去っていくんだと実感。
 ここまでのことをやらせてしまうまで、アメリカの困ったちゃんぶりを放っておいた私達にも責任はあるような。いじめられっ子がいじめっ子を刺し殺すまでクラスのいじめを傍観してたら、やっぱ無罪じゃないよね。

 それはともあれ、「テロは卑劣」だけど「戦争ならオッケー」なのは何故なのか、誰か知ってますか?
 「戦争には一定のルールがある」と仰る方もあるようですが、原爆落とし~の、空爆で市民虐殺し~の、民間施設誤爆しまくり~ので、何のルールがあるのかよく分かりません。
 結局、暴力の主体を国家だけの権限にしておきたいのかな。

 ま、そもそもブッシュくんも「これは戦争じゃ、ゴルァ!!」とか言ってるし。
 そのわりに「テロは許さんぞ、ゴルァ!!」って……一体どっちなの。
 戦争とテロの違いって、彼にもよく分かんないのかね。

 ところで、アメリカは誰に「報復」するつもりなのかしら。
 ラディン氏が関与しているという見込み捜査をしてるみたいですけど、「関与の疑い」は「指揮をとった証拠」とは違うって、誰も言わないのかな。「証拠はいらん、推定有罪じゃぁ!!」ってこと?

 犯人に決定されそうなラディン氏ですが、彼をかくまってるのがアフガニスタンのタリバン勢力じゃなくて、もしも日本やイギリスの地下組織だったら……
 まさかアメリカも、がんがんミサイル打ち込んだりはしないでしょうね……ねぇ?ドキドキ
 でもアフガンなら、何やってもオッケー、ってわけですか。
 ペルーが「フジモリ返せ」って曾野綾子邸に巡航ミサイルぶち込んでもいいのかね。

 さらには犯人が「イスラム原理主義の過激派組織らしい」ってだけで、道行くアラブ系の一般市民に暴言吐いたりタコ殴りにしちゃう、善良な愛国者たち。
 あんたら、犯人が天秤座だったら、天秤座の隣人を殴るかい?

 うちのダンナの、大学一年の時のセクション・メイトが、行方不明者の中にいます。うちの大学は墜落事故とか、大きな事件の時にはなぜか犠牲者を出しやすいみたいで、今回もたぶん一人ぐらいいるだろうなと思ってました。(ダンナ自身だって、ボストン発の便なんて、下手すりゃ乗ってたかも知んない)

 世界貿易センタービルを標的にしたということは、やはり、アメリカ的なグローバリズムに対する挑戦という意思表示。
 だとしたら、あのビルで働いてる人たち……それなりの高給取り、いい会社に勤めてる社会的成功者は、テロリストにとっては「正しい標的」だった。ダンナの友人も含めてね。
 実際、経済のグローバル化という戦争においては、前線の兵士だったわけで。
 でも、ビル清掃の人たちなんかは、たぶん移民かマイノリティで、グローバル化の全き犠牲者だろうから、本当にとばっちりを食ってお気の毒だと思う。警官や消防士さんたちとは違って労災も下りないような、保険も入れないような、そんな労働環境かもしれないと想像したり。

 命を落とした犠牲者を悼み、一人でも多くの生存者が見つかることを願うのは自然な感情だと思う。
 けど、セルビアやバグダッドやバスラやカブールの時にも、市民の生存に同じくらいの関心を向けた人……あんまりいないと思う。報道の仕方もまーるで違うしね。

 一般市民を巻き込んだことに怒りを覚えるのが人間性の発露らしいですが、第二次大戦の時ですら、戦争で死んだ軍人と民間人の比率は半々くらい。ベトナム戦争では実に95%が民間人だったというから……今回も、多くの民間人が巻き込まれたのは近現代戦の必然的な潮流なのかも。吐き気がするわ。
 アメリカが小国で踏みつぶしてきた一般市民の数は、今回の犠牲者よりもっと多いでしょうし。だから今回の事件が許されるってことじゃなく、どっちも非道いじゃん、というのが正直なところ。
 それともやっぱ、戦争なら民間人殺してもいいけどテロは駄目なのかな。わけわかんねー。

 テロと戦争の違い……あるとしたら、「国家」の暴力は、「国民」の「世論」でブレーキをかけられるはず。抑圧のある世界でテロを止めるのは、もっと難しい。

 さて、今度のことの影響で、世界同時不況の恐れもあるようですが……
 どうせ大不況が来るなら、この際、実体を伴わないマネー・ゲームがうんと縮小して、実体に即した小規模金融の試みが各地で発生したらいいな……なんて、思ったりもします。私募債、無利子銀行、労働証明書、地域通貨etc. 自分たちの手で生活を守るすべは、まだまだ皆無じゃないはずだもんね。

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September 07, 2001

『熱血!周作がゆく』再放送中だっ

 えー、「RED☆SHADOW」から時代劇つながりということで。
 テレ朝、午前10:30から再放送中『熱血! 周作がゆく』です(タイトルはもーちょっと何とかならんか)。ああっ、でも次回で最終回ですぅ(;_;)

 中村俊介くん(^o^)演じる千葉周作は、ご存知「北辰一刀流」の流祖で、坂本龍馬も学んだ神田玄武館を開いた幕末の剣客。
 でもドラマは、その千葉周作がまだ江戸に来たばかりの若い頃、中西道場で学んでいた日々のお話。みょーに爽やかな味わいのある青春ドラマです。

 演出はリアル路線、ちょっとNHKっぽいくらいオーソドックスな作りなんですけど、中高年向けの予定調和オンリーな時代劇とは違って(それもいいんだけどね)、普通の連ドラとして楽しめるお話でした。

 見終わるとみょーに爽やかな後味が残るんだけど、実はこのドラマ、毎回必ずと言っていいほど、弱い者が不幸になるのを止められないお話なんですよ。
 周作が悪人を倒して弱い者を守ればめでたしめでたし……という作りには、なってないのです。
 むしろ力になろうとした相手が、不幸ゆえに罪を犯してたり、殺しの下手人が実は一番の被害者だったり。
 毎回の事件の結末は、ハッピー・エンドとは言えない。
 周作は一生懸命なんだけど、結局、不幸を止められないし、誰も救えないことが多い。

 だけど……なぜか、ドラマの後味はあくまでも爽やか。む~ん、不思議だ。

 これは主人公の人物造形の勝利なのかなぁ、と思います。
 剣の道にまっしぐらなわりに、年上の美人(←家庭ある男性と不倫中)に恋して悩んだり、でも鈍感だったり、不器用だったり。
 迷いながらも剣の道を進む周作くんのピュアピュア~な純粋さが……ま、「剣術バカ」なんだけどね、魅力的。

 周作は誰かを守ろうと剣を振るったり、剣を抜かないまでも立ち回りするんだけど、剣や腕っぷしの強さで救えるものなんか、あんまり多くはない。
 世の中も人間も、そう簡単じゃない。
 ……ってことを、周作が迷いながら、心を痛めながら、一つ一つ誰かの不幸を呑み込んで学んで、大きくなってく姿が描かれている。
 事件の結末の暗さを引きずらずに、周作の成長を描くもんだから、南こうせつのテーマ曲が流れる頃には、
「あれあれ? 悲しい事件だったのに、いつの間にか私、爽やかな気分になっちゃってるぞ?」
 と、こちらは狐に抓まれたみたい。
 この辺のさじ加減の妙に、脚本家の心意気と腕の良さを感じさせられます。できれば殺陣のシーンは、もう一工夫した映像で様式美を見せて欲しいんだけどね。

 また、このドラマでは毎回、登場人物が「実は後に××と呼ばれることになる(有名人だという)ことを、まだ誰も知らない。」というナレーションが入るんですよね。
 遠山の金さん、鼠小僧次郎吉などの若い頃が、密かにレギュラーの中に隠れてます。

 中村俊介くんって、意外と時代劇にはまるんですよね。前に沖田総司をやったときもすごく良かった(草刈正雄以来の超美形の総司くんでした)
 若いのに殺陣がうまいし、凛として人懐っこい感じをうまく出せてる。
 老けちゃう前に、もっともっと時代劇にでて欲しいなー。千葉周作と沖田総司を両方やるなんて、幕末に縁があるのかな。でもぜひ、源平ものをやっていただきたいと思う今日この頃です。義経なんていいよねー。

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September 05, 2001

『RED☆SHADOW-赤影-』見て来たっ

 カッコ良かったです……忍者アクションを堪能。もう1回見たいなーと思うくらい。

 初っぱな、布袋さん演じる侍と赤影が、延々とスローでにらみ合うシーンでは、「もしかしてこの監督、笑いのツボがちょっと違うかも……」とドキドキしましたが、その後のノリは軽快。忍び込んだお城の屋根裏で、よその忍者集団が渋滞しているところなんか、お約束の笑いプラス見事なアクションで大笑いさせてもらいました。

 テレビでやってた『仮面の忍者 赤影』とは、まったく別の作品になってます。
 青影は子供じゃなくて、赤影と同世代の幼なじみ。白影もお爺な仲間ではなく、赤影たちの師匠という感じ。白影の代わりに飛鳥というくノ一が、赤影たちと行動をともにします。

 どうやら監督のこだわりらしいのが、無駄な人死にを出さないこと。
 初っぱなの布袋さんからして、刀を抜いた途端、何故か刃を返して峰打ちで相手を倒します。
 そして赤影の必殺アイテムは、超強力瞬間睡眠スプレー。シュッシュと相手に吹きかけては眠らせてしまう平和ぶりです。
 「影一族」の使命自体、「光ある平和な世の中にすること」で、赤影たちの最初のミッションは、戦を回避させるための文書に殿様の署名をもらうこと。
 ただ、この辺のピース感が物語として徹底していないのは、ちょっと残念。それでも、バサバサ人を斬って平気でいるような映画より、ずっと好感が持てる。わたし的にはるろ剣、トライガンに続く非暴力シリーズね。

 物語は、第2のミッションで急展開。
 青影が、自分とそっくりの顔をした敵を殺してしまい、また飛鳥は敵の根来忍者に殺されてしまう。青影が敵を殺すのが先で、そのすぐ後に飛鳥が斬られたと思う。監督の意図がこの順序にもにじみ出てますよね。
 この戦いの後、青影は殺し合う忍びの務めに強い疑問を抱き、忍びを抜けてしまいます。一人になった赤影は、飛鳥の死に打ちのめされつつも、単身で任務を続行……なんだけど。
 このあたりからの展開は、もう少しうまくやれるんじゃないかな、と思います。
 決して悪くはないんだけど、こないだテレビでやってた『タイタニック』の分かり易さと比べると、やっぱり邦画の脚本はまだハリウッドに敵わないのかな……と思います。

 赤影と青影、飛鳥の3人の幼なじみの、ちょっと切なくていい関係が細やかに描かれてるのと比べ、後半での赤影の葛藤は、描き方がやや手薄な印象。
 琴姫の戦車が張りぼてのハッタリだということを突き止めた赤影は、これを白影に知らせるべきかどうか、もっと悩むべき。
 赤影が傷を負ったのもこの時だったかな? 傷を癒し、立ち直る過程が、季節の移ろいを示す風景で綴られるのも、日本人なら分かるだろう的な感じがしてしまう。もっとエピソードで語って欲しい。
 傷の癒えた赤影に、琴姫暗殺の指令が下り、赤影の葛藤は頂点に達するんだけど……張りぼて報告の時点で葛藤してないから、やや唐突な印象。
 とりあえず指令に従ってお城に忍び込んじゃう赤影には、あんましゆっくり葛藤してる暇もない。
 根来衆の襲撃とバッティングした赤影が、ついつい命令違反をして琴姫を守ってしまうという展開は、正しいんだけどなぁ。優柔不断が赤影のキャラなのかな。

 あと、キャスティングの好みで言うと、陣内の悪役、津川雅彦のタヌキ爺、竹中直人の白影は、はまってるけどはまりすぎで意外性がない感じ。見たこともないものを見せて欲しいこちらとしては、彼らが画面に出てくると、どっかで見たような印象を持ってしまう。根津甚八や風間杜夫は気にならなかったんだけど……。フミヤの乱丸って、ちょっと老けてないか? いや、若作り激しいから見た目に違和感はないんだけど、安藤くんの赤影のライバルなら、20代の役者さんを使った方が自然なのでは。
 う~ん、さらに好みの問題で言ってしまうと、赤影の安藤くんはとても好演してるんだけど、あの系統のハンサムなら中村俊介くんの方が好きなんだー。あ、でも、湖畔で月を見るシーンの後ろ姿、赤影のお尻が恐ろしくカッコ良かったから……ま、いいか。
 特筆すべきは篠原涼子の「美人按摩」のシーン。青影のダメダメぶりも相まって、このシーン、あたしは思い出し笑いできますよ。

 赤影はもちろん、青影もとてもカッコ良かったし(あんまり強くないところがこれまた良い)、飛鳥もすごくかわいくてカッコ良い女の子だった。つくづく、俳優さんって「カッコイイ」がお仕事なんだなぁと思ってしまった。
 布袋さんのゲイリー・ムーアちっくなギターのテーマソングも、ラストの味わいを深めて印象的でした。

 酷評も多いみたいですけど、私は映画ファンじゃないし、単純に見終わって「楽しかったー」と思える映画でしたよ。
 続編は作られないのかな?

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September 03, 2001

サボテンブラザース

 ばかばかしいB級映画なんだけど、妙につぼにはまって……好きなんだなー、こういうの。
 ジョン・ランディス監督、スティーブ・マーティン主演。
 実はテレビで見るのも、今日で3度目。DVDも出てるらしいけど、うっかりテレビで見ちゃうのが楽しいのね。場末の3本立てでもいい。

 ハデハデの衣装に身を包んだサボテン・ブラザースは、悪党を倒す正義のガンマン3人組……を演じる映画スター。ところが、彼らを「本物の正義の味方」と勘違いした美女に助けを求められて、悪党一味から村を救う羽目になり……
 詳しくはこちらをどうぞ。→こちら

 全編爆笑、徹頭徹尾「お約束」を逆手に取った作りで、分かっちゃいるけど笑わせられる、楽しいお話。悪乗りのやりすぎ具合が癖になる。

 私としては、字幕付きより、日本語吹き替えで見るのがお薦め。
 過去の「サボテン・シリーズ」の映画の題名がセリフの中にいろいろ出てくるんだけど、ポケモン・サボテン、サボテン失楽園、素晴らしきサボテン野郎、サボテンがいっぱい……など、一々パロディがはまってる。オリジナル音声で聞けば、きっと映画ファンには分かるパロディが沢山入ってるんだろうなと思う。
 いきなり「メキシコ 大正五年」なんて字幕が入ったりするのもいいセンス。なぜに大正!?

 この映画最大の謎は、「歌う木」と「透明人間」のエピソードだ。
 悪党一味のアジトへ向かうサボテン3人組、道順を記したメモに従って進むのだが、このメモをどこから入手したのか不明。
 だがそれはいいとしよう。シナリオ段階では理由があったのがカットされたのだろうと想像すれば気が済む。つじつま合わせに終始するより、見て面白いのが肝心なのだから。
 しかし……。
 「歌う木」のある場所で呪文を唱えながら空に向かって一人一発銃を撃つと「透明人間」が現れて案内してくれる……という、なんじゃそりゃ?な展開。
 いきなりファンタジー世界が闖入する摩訶不思議さを、まぁいいかぁ、と思わせてしまうルーズな悪乗りが愛しい。

 ストーリーテリングの観点から注目すべきは、この珍妙なファンタジーまがいのエピソードから、元々の作品世界(メキシコを舞台にしたガン・アクション・コメディ)への復帰の仕方だ。
 案内してくれるはずの透明人間を、サボテンの1人が誤って撃ち殺してしまう。ドサッと透明人間が岩場から堕ちてきて、地面に人型の凹みがつくのだ。透明な腕をとって脈をはかり、死亡を確認。その透明な腕が地面に落ちるとき、もう一度土埃がたつ芸の細かさだ。ここが珍妙ファンタジーのクライマックスとなっている。
 さて、案内者を亡くした3人が困っていると、頭上を一機の飛行機が飛んでいく。この飛行機はちゃんと伏線の張られた登場で、悪党一味のアジトへ向かうドイツ人たちが乗っている。3人は飛行機を追って、無事アジトへたどり着くのだ。
 この、透明人間の脈を取るナンセンスさから、飛行機の後を追うリアリティへの復帰が、実に鮮やかなのだ。
 ゴーッ、と頭上を飛行機が通り過ぎる速さで、ナンセンス・ファンタジーは過ぎ去り、リアリティが戻ってくる。
 明らかに作品世界から逸脱した「歌う木」と「透明人間」のエピソードを、何となく許せてしまう理由も、ここにある。観客を振り返らせない力業が、飛行機のゴーッ、なのだ。このトリッキーさはちょっと見習いたい。

 正義の味方という虚像を、図らずも現実で演じることになるサボテン・ブラザース。彼ら3人だけでなく、悪党になすすべなく蹂躙されていた村人たちも、自分の中の勇気を奮い起こしていくさまが、気楽なノリで気持ちよく描かれていて、ばかばかしいながらもカタルシス充分の楽しい映画です。

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