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August 07, 2001

真正な紛い物、正嫡の偽王子 ~David Bowieはやっぱり凄いということ

 グラム・ロックへの復讐的オマージュ映画『Velvet Goldmine』のヒットで、思わぬ温故知新の風が吹いたとはいえ、日本では既に過去の人となって久しいDavid Bowieのことを熱く語るには、さすがに時間が経ちすぎてる。私が彼に夢中だったのは、中学・高校の頃だったんだもの。
 もちろん今でも好きだし、一筋縄ではいかない愛情は捻れまくっているかもしれないけれど、やっぱり、少しくらいは何か書いておこうかな、と。

 次々に音楽スタイルを変えながら、常にBowieでしかあり得ないものを確実に作り続けてきたDavid Bowie。
 みっともなさスレスレのかっこよさ、異形すれすれの美貌。
 何が凄いって、どのアルバムを聴いても一枚としてつまらないものがないところが、やはり並じゃない。あいにく最近の動向は知らないが、少なくとも97年のEARTHLINGに至るまで、彼のアルバムは刺激的であり続けているし、70年代のアルバムを今聴いても、そのカッコ良さは色褪せてはいない。

 とはいえ、彼が歌った〈宇宙時代〉の予感は、もはや往事の輝きを失った。
 Space Oddityのトム少佐はAshes to Ashesではジャンキーとして脱神話化され、Starmanの呼びかけもまた、チャネリング・ブームの中に世俗化されてしまった。
 そしてBowie自身、後年のステージでRock'n'Roll Suicideを歌うとき、大きすぎるZyggy Stardustという伝説の、堂に入ったパロディを演じているようにさえ見える。

 真面目に考えてやってるのか、単なる商業主義なのか。
 天性の感性でやっているのか、それとも少しばかり目端が利くだけなのか。
 しかし彼には、こうと一つに決めてしまうと、何かを取り逃がしてしまう捕らえ所の無さがあるのだ。
 「あれは所詮ニセ者だよ」と切り捨ててしまうことを拒む裏返しの存在感。

 真正な紛い物、正嫡の偽王子。

 ……それは多分、切実になり得ないということの切実さ。

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