「ロッキー・ホラー・ショー」DVDと思い出
ご存知の方はご存知(←同語反復)、『ロッキー・ホラー・ショー』がDVD豪華2枚組で発売されました。
これがもう、凝った作りで楽しーっ!
映画自体は、いわゆるカルト・ムービーの走りとでも言いましょうか、非常に洗練された悪趣味てんこ盛りのロック・ミュージカル。
婚約したばかりの健全な若者、ブラッドとジャネットは、嵐の夜、車のパンクで足止めをくらい、電話を借りようと不気味なお城を訪ね……そこで2人を待っていたのは、不気味な召使い達。そして城の主人は、ビスチェに網タイツ姿の服装倒錯者で、イカレた連中を集めたパーティの真っ最中。健全な2人はめくるめく倒錯と官能のデカダンスへ誘われ……
……ただし、展開は唐突で脈絡が無く、ストーリーを語ることには空しさを禁じ得ない無茶苦茶な構成です。
カルト・ムービーなだけに、当然コアなファンが多く、映画館では登場人物のセリフに合いの手を入れたり、紙吹雪やクラッカーなど小道具を用意していって騒いだりと、独特の「鑑賞術」が発達しているのも、この作品の特徴です。
今回のDVDでは、そんな熱気溢れる劇場の様子も見られるし、また、それら「お約束」の合いの手などを音声トラックで同時に再生できるので、ちょっとした劇場気分が味わえます(一人で見てもさびしくない?)。
ファンに嬉しいのは、主なキャストのインタビュー、特に、原作者にしてリフラフ役のR.オブライエンがギターを持って撮影現場だったお城(現在はホテルとして営業中)を訪れ、部屋から部屋へとおなじみの曲を歌いながら当時の逸話を語ってくれるところ。
そして、本編再生時にメニュー画面から選べるもう一つのオマケも注目。
P.クイン(マジェンタ役)とR.オブライエンが、映画を見ながら延々としゃべりまくるコメンタリー・モード。ホント、延々としゃべってるんで、一度普通に見た後でも、ついついもう一回見てしまうのですよ。
メニューのセレクト画面(特に本編が入ってるDisc1の方)も、遊び心のある楽しい出来だし、カバー付きのケースも素敵。5700円は決して高くないです。
隠しコマンドは、Disc1の方のメインメニューから、スペシャルのところを反転した状態で「←」を押すと唇マークが現れます(冒頭が白黒になっているだけですけどね)。
日本語のファンサイトでは、LIP'Sが多分最強でしょう。興味のある方はどうぞ→こちら。
初めてこの映画を見たのは高校時代でした。
近くの映画館でロック・ミュージカルの特集をやってて、週替わりの3本立てプログラムの中に入ってました。ジーザス・クライスト・スーパースターとか、トミーとか、ゴッド・スペルとか……面白かったなぁ~。
面白いのがいくつもあった中でも、ロッキー・ホラーは特別に印象的で、一人でハマってました。お尻が痛くなっても3本立てをもう一回見たりして。翌日もまた見に行っちゃったり。何度見たか分からない。翌年のミュージカル特集でも、やっぱり見に行きましたもん。
ロッキー・ホラーはカッコ良くて、凄い盛り上がるんだけど、どういう展開だったかと思い出してみると……???なんですよね。
当時からお話を書いてましたから、私は家に帰って記憶を手繰りながら、曲順と場面展開を書き出したりしましたね。
翌日また見に行って、もう一度展開を確認してみて、結論は……「構成が変」でした。
ストーリーも展開も、「良く出来てない」。でも、それを補ってあまりある曲の良さと、センスの良さ、そしてキャストのはまり具合が、ロッキー・ホラーの魅力なんでしょう。
さて、ロッキー・ホラーとの次の接近遭遇は大学を受けに行ったとき(でもニアミスに終わる)。
ロッキー・ホラーのポスターが学内のあちこちに貼られていて、私は心底ビックリしました。その大学の舞台で学生が上演するって!
すごーく悩みましたが、まだ他の大学の受験が残っていたので、チケットは買わず、その舞台は見ることが出来ませんでした。楽日が合格発表の前だったんですよ。
ずっとあと、大学を(大学院も)卒業してからその舞台を撮ったビデオを見ましたが、日本語の訳詞もセンスが良く、キャストもそれぞれはまってて、演奏もコーラスまでカッコイイ。かなり出来の良い舞台だっただけに、生で見られなかったのは今でも後悔します。
結局、その大学に受かって通うことになったのですが……のちに私のダンナとなったのは、その時の舞台でブラッドを演じていたお調子者でした。そうとは知らずに知り合ったのですが、奇妙な縁です。これも薔薇のお導きかも知れません。
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