あんたみたいな人種にはヘドが出る
環境保護になんぞこれっぽっちも興味がねえくせに
自分を守るための議論となると百万馬力だ
プルトニウム積載船が沖を通ったって
無関心でいるような輩が
煙草の煙ひとつで大騒ぎってわけさ
(『愛でなく Ⅵ』パーム20巻 獣木野生(もと伸たまき) 新書館より)
ヘビー・スモーカーの言い訳に利用されては困るけど、アダムス警部の気持ちは解るな。
ま、プルトニウム積載船の話ではないんですけど。
石川県でタンクローリーが横転し、有毒ガスを発生する劇物「トリクロロシラン」が流出炎上する事故があった……というニュースを聞いて、危ないもんがすずしい顔して道路を走ってるんだなぁと、改めて感じました。
ニュースでは「トリクロロシラン」なる「劇物」の引火性などの性質は言及していたが、どういうわけか、何に使われるものなのかは一言も説明がない。記者はアホか? アホなのか?
仕方なくネットで検索したところ、「半導体用高純度シリコンの原料として使用。」という記述を見つけた(→
http://www.inv.co.jp/~yoshi/doku-g/geki2.html)。「加水分解で塩酸を生成」ともあるので、ニュースで言ってる「有毒ガス」は塩酸の気化したものか?
とにかく、ニュースの本質としては、「何のためにそんな危険なものが道路を走ってるのか」の方が大事だろう。
だって、私たちがどんなリスクを取って現代の文明生活を送っているのか知るのは重要だが、化学物質の性質そのものには、あまり意味はなかろうに。
危険なものが走ってるのは、なにも民家に隣接する国道ばかりではない。
流出すると大変なことになる重油を載せて、タンカーは世界の海を行き来している。
今もガラパゴス諸島では、アシカさんやペリカンさんやイグアナさん(!)やカツオドリさんたちが、まっ黒な重油まみれになっている(→
CNNニュースはこちら)。
最初聞いたとき、「ガラパゴスなんてタンカーの航路なの?」と思った。なにしろ、独自の進化を遂げてダーウィンさんを感化しちゃうほどの絶海の孤島(諸島だが)という印象があったからだ。
地図をよく見れば、パナマ運河と南半球を結ぶ航路にあたるらしいことが分かる。
たび重なる重油流出事故は、本当に「許容されるリスク」の内なのだろうか。
少なくとも、こんな危ない橋を渡らずに済ますよう、真剣に、緊急に、人間の文明は努力しているのか?
現代の技術発展は、あまりにもアンバランスだ。
原油を採掘し、商品化し、利用する技術の洗練に比べ、ひとたび事故が起こったときには人海戦術に出るしかないという稚拙さ。
現代人であることは野蛮だ。
嫌煙権も大事だよ。特に呼吸器疾患のある人たちには、切実だろう。
でもやっぱ、日ごろ無自覚に負わされている現代生活のリスクは、すずしい顔していたるところにある。
それらの内いくつかは、人間やアシカや海や大気や大地にとって、まさに致命的な危険なのだし。
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