May 16, 2009

ゆうべ見た夢 --天使の涙

 こんな夢を見た。


 天使が泣くと、零れ落ちた涙はサファイヤになるのですが、これを拾った男が宝石屋に売りに行きました。

 けれどここは天使の街。天使の涙は珍しくもないありふれた品ですので、とても値段など付かないよと断られてしまいました。

 見れば、宝石店とは名ばかり、どう見ても土産物屋といった風情で、店の前のワゴンには、各種とり揃えた天使の涙が山積みになっているのです。
 表通りを大勢の天使たちが行き交い、天使の涙など売るほどもあるのです。

 それでやっと男も、その拾った天使の涙を落とし主に返す気になりました。

 落とし主はずっと男の後についてきて、返してくれと言を尽くして頼み続けていたのです。

 やっと取り戻した天使の涙を陽にかざし、落とし主もまた涙を流しました。

 ありふれた天使の涙でも、その人にとってはかけがえのない品でした。

 それはあの天使が自分のために流してくれた涙で、スターサファイヤの真ん中には、天使の心が煌めいているのです。

 天使は憐れんで、人ゆえに落涙するのでしょう。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

February 06, 2009

25番目の奴隷

 奇妙な夢を見た。

 ある男が、十字架を背負って運ぶ役の25人のうち、25番目に選ばれてしまった。
 男は他の24人の後について引き立てられていく。
 道沿いの左手の高台に、その十字架にかけられる予定の罪人たちがさらされている。
 二人の盗賊と、一人のナザレ人だ。
 男は彼らを見上げながら、道を行きすぎていく。
 男は彼に与えられた役割の重さを少しも知らない。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

January 25, 2009

殿下! お久しゅうございます!

 殿下といってもパタリロのことではなく、私の翡翠殿下--カワセミのこと。

 寒くなって犬が鴨川まで散歩に付き合ってくれない日が続いていたんだけど、今日は久々に河原まで足を伸ばしました。
 すると!! あの懐かしい、色鮮やかな、カワセミの姿が川面を渡って行くじゃありませんか。

 山科にいた頃に何度か、そして洛中に越してきてからも一時期、翡翠殿下のお姿を見かけていました。2003年12月以来の再会です。

 長らく目にしていないと、あんなに美しい生き物はやはり幻だったのじゃないかと思っていました。冬には油照りの夏なんて二度と来ないんじゃないか、夏には底冷えのする京の冬なんて嘘なんじゃないかと思ってしまう短期記憶オンリーの私ですから、カワセミほどに非日常的な美しい生き物は、目の当たりにしているとき以外には現実とは信じられません。

 現代の日本で普通に生活していて出会える生き物の中では、おそらくトップレベルの色鮮やかな美しさ。
 あれほどに美しい生き物を見ると、否応なくテンションが上がります。
 同様の感激を与えてくれるのは、蛍の群くらいでしょうか。数匹の蛍では足りないかな。数百匹の蛍の群を見たときには、やはりテンション上がりました。

 多分自分が死を前にしたとき、「私の人生が素晴らしかったのではなく、この世界が素晴らしいのだ」という思いの中で思い出す情景の一つが、カワセミのいる川面なのだと思います。
 これほどの幸福を与えられるのに、私は少しも相応しくないというのに。

 カワセミがいて、蛍がいて、桜並木があって欅があり、となりでは犬が寝息を立てている。
 この人生はすでに過分の幸福を頂戴しているんだと、改めて感じさせられる冬の午後でした。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

January 15, 2009

環境家計簿

 オバマ就任前に、やっぱりやってくれたイスラエルが猛攻撃しているガザ地区の封鎖解除を求める署名をやってきたんですが、そこからリンクされていたクリック募金をポチポチやってるうち、『エコチャレ』というサイトになかなか便利そうな環境家計簿があるのを見かけたので、さっそく使ってみることにしました。

 会員登録を済ませたら環境家計簿の入力画面に、毎月の電気、ガス、水道、ガソリン使用量などを入力するだけ。簡単簡単。
 うちは石油ストーブもマイカーもありませんので、灯油・軽油・ガソリン代はゼロなんですが、それでも去年のCO2排出量は2704kgとのこと。完全に昼夜逆転生活なんでね、もう。
 もちろんこれは光熱費の分だけで、消費した商品が製造・使用・廃棄過程でどれだけCO2を出したかは分かりません。それにしても、3㌧近くの気体って、体積にしたらどんだけぇ…?

 毎月の環境家計簿を入力するとポイントがたまり、とりあえず2年分入力しただけでも125ポイントになりました。ポイントはエコグッズと交換できます。
 他にも、このサイトから楽天にログインしてお買い物してもポイントがたまります。
 なのでさっそく、かねてから狙っていたポルトガル製シランポスの圧力鍋を注文してしまったりして。ガス使用量の節約は、まぁ、気持ち程度ですが、うちはマクロビ料理が多いので、玄米や分づき米を焚いたり豆なんかを煮たりするのにきっと便利ですよね~。圧力レベルの表示部分が緑黄色赤のポルトガルカラーでとってもチャーミング。

 クリック募金のサイト『イーココロ!』も、会員登録すればクリックでポイントを溜めて、自分が選んだNGOに募金することが出来ます。

 署名TVには、ガザ封鎖解除の他にもさまざまなweb署名があって、どんなにひねた大人だって一つや二つは署名したくなるものが見つかると思いますから、指一本動かさないでいるための言い訳を考えてる暇があるくらいなら、ちょっと覗いてみて下さい。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

October 10, 2008

ル・クレジオ 『メキシコの夢』


 J.M.G. Le Clezio Le Reve Mexicain -- ou la pansee interrompue, 1988の邦訳。新潮社、1991年。 これは大学院の受験勉強をしている時期に、どっかの書評で読んで目にとまって、その1年で読んだ本の中でベストワンだったのを覚えている。
 邦訳の腰巻きにはレヴィ=ストロースによる推薦文がある。

ル・クレジオは昔の記録家の証言を鮮やかに蘇らせるとともに、アメリカ大陸のインディオ文明全体とのつながりの中に、西欧人には信じられなかったメソアメリカのさまざまな事物を素晴らしいエクリチュールによって描いている。……

 ル・クレジオはたまたまこの一冊だけ読んだことがあったのだけど、読んだことのある作家がノーベル文学賞を取るのは、珍しい。
 一つには、近年では西欧、そして日本を含む先進国の作家は、それ以外の国々の作家とバランスをとるために、順番が回ってくるのが遅い。
 もう一つは単純に、私が現代作家の本をほとんど読まないからだ。思想家の著作は、存命中の人たちのも読むけれど、文学はよほど信頼できる知人からの口コミでない限り、ほとんど現代作家のものは読まない。歳月の摩耗に耐えたものだけでも読み切れないほどあるわけだし。

 スペインが征服する以前のメキシコ、メシーカ族を中心としたインディオの儀礼と思考を再現し、その血まみれの祭儀の意味を読み解き、征服者によって沈黙を強いられた文明の、中断された思考に耳を傾ける……というような内容だった記憶が。西欧の倫理観で裁くことの傲慢とか、残酷な神の神聖性とか、印象はいろいろ残っている。大学院で学ぶ前に読んだから、今読み返すと粗が見えるのかも知れないけれど、まぁ、村上春樹では知性のレベルが勝負にならないんじゃないかな。

| | Comments (0) | TrackBack (1)

October 03, 2008

ムームーの長いお散歩 --ハンマーを持った少年のお話

 ムームーの本当の名前は「ムー」ですが、みんながこの子を「ムームー」と呼びます。

 ある日ムームーは散歩の途中、小さな入り口を見つけました。
 小さな建物のはじっこにあいた、小さな入り口です。
 入り口には扉がありません。
 (きっと素敵なことがあるに違いないわ!)とムームーは思いました。
 入り口の向こうには、地下へと降りる階段がありました。ムームーはその薄暗い階段を、わくわくしながら下りていきました。

 階段の下は、薄暗い小さな部屋でした。天井近くの小さな窓から、かすかな明かりが差し込んでいます。
 ムームーは目をこらして、部屋の中を見回しました。
 部屋のすみっこに一人の少年がいました。
 少年は膝を抱えて座り込み、ギョロッとした目でムームーを見上げていました。
 ムームーは少年にあいさつしました。
「あたしムームー。よろしく」
「……」
 少年は黙ったままでした。ムームーは続けます。
「本当はムーっていうんだけど、みんなムームーって呼ぶの」
「……」
 少年は何も言いません。ムームーはさらに続けます。
「あんたと友達になりに来たのよ」
「……」
 少年はまだ黙っています。
「ちょっと聞きたいんだけど、あんた、ここで何してるの?」
 すると少年は、ようやく口を開きました。
「……人を叩かないようにしてるんだ」
 少年の声が聞けたので、ムームーはうれしくなりました。
「それは素敵ね。人を叩かないって、あたし、いいと思うわ」
 それからちょっと首をかしげて、ムームーは少年にたずねました。
「人を叩かないのはいいけど、あんたはここで座ってなきゃいけないの? ここが好き?」
「特別好きじゃないさ。でも、ここにいなきゃダメなんだ」
「なぜ?」
「ぼくにはハンマーしかないからだよ」
 少年は右手に握ったハンマーを見せました。
「ふぅん」
 ムームーはちょっと足を交差させ、両手を頭の後ろで組みました。
「ハンマーしかないと、どうなるの?」
 少年は悲しそうにムームーを見上げました。
「ぼくにはハンマーしかないから、見えるもの全部がクギみたいに思えてきちゃうんだ」
 少年の顔は本当に悲しそうでした。見ているムームーも悲しくなってくるほどでした。
「あら、まぁ……そうなの?」
「そうなんだ。朝食のトーストもクギみたいに思えて叩きつぶしちゃったし、ミルクティーのカップもクギに思えたからたたき割っちゃった。もちろん、ゆで卵も」
「あら、まぁ……それで、怒られなかった?」
「怒ってる母さんがクギみたいに思えてきたんだ。だから慌ててうちを飛び出して来たんだよ」
「そう。大変だったね」
「うん。大変さ。……兄さんにはピッケルがあるのに、ぼくにはハンマーしかないからね」
「へぇ……まぁ、ピッケルって、いいよね」
「ピッケルはいいよ。ピッケルがあるから、兄さんは山登りが出来るんだ」
「そっか、ピッケルなら、山登りできるよね」
「うん」
 ムームーは少年のとなりに座ってみようかな、と思いました。
 けれどムームーが一歩、歩き出そうとすると、少年が大きな声で叫びました。
「だめだ! こっちに来ちゃだめだよ! ぼくにはハンマーしかないから、きみのこともクギだと思っちゃうじゃないか。それ以上こっちに来ちゃいけないよ」
「ああ、うん、行かないよ。……でもあんた、あたしのことクギみたいだと思う?」
「わかんないよ。暗くてあんまりよく見えないし。でもよく見たらきっとクギだと思っちゃうさ」
「そうなんだ」
 少年の手は、しっかりとハンマーを握りしめています。
 ムームーはあらためて、両手を頭の後ろで組みました。何か考え事をしたり、深く思ったりするとき、ムームーはいつもそうするのです。
 すると、ある考えがムームーの心に浮かんできました。ムームーはにっこり笑って少年に言いました。
「ねぇ、あたし、素敵なこと思いついちゃった」
「素敵なこと?」
「うん。きっと素敵だと思う」
「どんなこと?」
「あのね、こんなのどう? まず、あんたはハンマーを床に置いて、握ってる指をそーっと開いてみるの。それから立ち上がって、こっちに歩いてきて、あんたはあたしと握手するの。どう? 素敵じゃない?」
 少年はびっくりしてムームーを見つめていました。ムームーはにっこり笑って頷きました。
 少年は、ゆっくり、ハンマーを床に置きました。
 それからハンマーを握っている指を、そーっと、まずは親指、次に人さし指、中指……と開いていきました。
 少年はますますびっくりした顔で、何も握ってない自分の手を見ました。それからその手を目の高さまで上げたので、ムームーは片手を振って見せました。
 少年は静かに立ち上がり、からっぽになった手を前に突き出したまま、一歩、また一歩、ムームーの方へと歩いていきました。
 少年が手の届くところまで来ると、ムームーはしっかりその手を握って、二人は握手をしたのでした。
「ほらね? やっぱり素敵じゃない?」
「うん……すごいや。これで昼ご飯までにうちに帰れるよ。お腹ぺこぺこなんだ」
「朝ごはん食べそこねたんだもんね」
 少年は頷いて、ニコニコしていました。
 ふと、ムームーが思いついたように言いました。
「ねぇ、あのハンマーだけど」
「うん」
「持ってってもいいんじゃない?」
「そうかな……」
「だってほら、クギと板を探せば、木の上に秘密基地が作れるし」
「そうか! そうだよね! 秘密基地とか、犬小屋とか!」
 少年はハンマーを拾い、ベルトに挟みました。
 それから二人は一緒に階段を上って、小さな出口をくぐり、地上に出ました。
「うわぁ、まぶしいや」
 少年はそういって目を細めました。
「ありがとう、ムームー。ぼくはジャン。でも、もし君がそう呼びたければ、ジャンジャンでもいいよ」
「そうね……『ジャン』と『ジャンジャン』、どっちが素敵な呼び方か、今度あうときまでに考えとくわ」
「うん」
「じゃあね」
「じゃあ、また」
 二人はたがいに手をふって、別々の道へと歩いていきました。

 ムームーはまだ散歩の途中です。
 ムームーのお散歩は、いつもとても長いお散歩なのです。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

September 12, 2008

本当は怖い汚染米

 当初「事故米」として報道された時から、発ガン性のカビ毒がひどく気になっていました。

 昔読んだSFマンガで、自分を虐待した親を殺すために、ピーナッツのカビ毒を夕食に混ぜて食べさせるというエピソードがありました。(『セシリア・ドアーズ』江ノ本瞳、新書館、1995)

「彼らは……早くて二ヶ月で死亡する。どこにでもあるガンで死ぬんだ」

 それがアフラトキシンBでした。スパイものなんかでもある程度定番の小ネタだったかも知れません。

 事故米転売のニュースでピンと来たので、それが「あのピーナツのカビ」なのかどうかネットで調べだところ、まさに同じアフラトキシンだということが分かりました。そしてアフラトキシンには何種類もあることが分かり、事故米のカビ毒がアフラトキシンの中のどの種類なのか気になりました。
 すぐには情報が見つからず、少し経ってから、ようやく、もっとも毒性の強いアフラトキシンB1だと分かりました。自然界最強の発ガン性物質です。今もあまり積極的には報道されていません。

 東京都健康安全研究センターのサイトによると、15マイクロkgのアフラトキシンB1を含む資料で飼育したラットは、全て肝臓ガンになったそうです。マンガで書かれてた通りです。
 そして、アフラトキシンは、加熱調理によってもほとんど減少しません。

 メタミドホスに関しては、濃度が低ければ影響がないと分かります。もちろん有毒な化学物質を体内に取り込むこと自体嫌ですが、直接的な健康被害はないというのは理解できます。でも、アフラトキシンは……? どの程度の濃度で、食用に転用されたのか否か、正確な情報が早く欲しいところです。アフラトキシンに関する報道が微妙に少ないように感じるのは、気のせいなのかな。

 自分が肝臓ガンになるかどうかは、まぁ、それほど気にしませんが……でもハンナよりは長生きしなきゃいけないけど……どうにも情報の出方が気になる事件ではあります。
 たとえ汚染された食品を食べてガンになったとしても、裁判で「科学的因果関係」を証明することはほとんど不可能でしょうから、責任追及がほぼ不可能な種類の事件です。こういうの、本当に嫌いだなぁと思います。

 ダイオキシンの10倍という毒性をもつ「ピーナッツのカビ毒」。95年出版のマンガで読んだんだから、そのとき私はもう大人でしたが、「親を殺すための毒」というのは、特別な感情を呼び起こすエピソードでした。
 この毒は、十全な殺意を持って使うべきものであって、もうけたいがための漠然とした未必の殺意でなんか使用するべきものじゃない。本当に殺したい奴に毒を盛る時に使うものであるはず。賞味期限や原産地の改ざんなんかとは、本質的に違う種類の事件だと思います。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

August 12, 2008

フレディー・マーキュリーって

フレディって、白塗りでハレーションの画像だと、ジョニー・デップと似てることを発見。

もう死んじゃった人なんだよねぇ。HIVがゲイの病気だった時代のこと。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

June 22, 2008

夏至の日に

夏至の日の沈む彼方を指さして その眼差しが地平を拓く
雨上がり夜の匂いを嗅ぐ犬は 腰高窓に鼻先伸ばす
出窓越し街を見下ろす犬の目に世界はなんと映っているか

| | Comments (0) | TrackBack (0)

June 13, 2008

夢の中の犬

私の腕に 顎乗せて
私の脇腹 盛んに蹴って
お前 どこの野山を駆けている?
体中をふるわせながら 何に向かって吠えている?

白目が時々見えてるよ
ピンクの舌先ちょろりと出てる
ヘンな顔になってるよ

そんなお前を見ているだけで お前よりきっと何倍も幸せになっている
だから私は そうーっと息をひそめ
お前の夢の中に滑り込もうと 夜明けの風を探してる

| | Comments (0) | TrackBack (0)

«かわら林